インフラに陥ってるベネズエラを仮想通貨が救う?
皆さんはご存知でしょうか?
ベネズエラは経済において最も不幸な国と知られています。
常にインフレに悩まされており、もはやベネズエラ通貨が機能していない、そんな状況を打破しようと新たな計画が発表されました。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が、仮想通貨に裏付けられた新たな通貨を
8月20日より流通し、問題解決すると現地の報道機関テレスールが報じられました。
テレスールの報道によると、新通貨となる「ボリバル・ソブラノ(ソブリン・ボリバル)」は既存の「ボリバル・フエルテ(VEF)」から5桁切り下げて仮想通貨ペトロに紐付けることで、通貨の信用性を高めます。
そんなことが実現できる新たな取り組みとは何か見ていきましょう。
仮想通貨 ペトロ(PTR)とは
ペトロ(PTR)とはベネズエラ政府がプレセールをした、現物石油に裏付けられた仮想通貨であり、ドルを基軸としたテザーと似た通貨です。
ベネズエラの主要通貨ボリバルでは購入できませんが、8240万ペトロ分が法定通貨・主要仮想通貨で購入が可能です。
なぜベネズエラ政府は通貨を発行したのか、それはハイパーインフレの真っ只中だからです。
アメリカと仲が悪いベネズエラは、
自国通貨をドルなどにする「ドラリゼーション」
ができないため、外貨獲得ができず国民に必要物資を輸入することができず、モノ不足に陥ります。
そのため政府は無駄に紙幣を発行し国内で融資・債券で資金を賄おうとしましたが必要以上の資金が流入したため、インフレを起こし、紙幣が機能しなくなりました。
ベネズエラは、米国とEUによる経済制裁を迂回し、ポーランド・ノルウェーなどの海外投資家を惹きつけ、石油や天然ガスに恵まれているので自国の経済圏を作りたかったのかもしれません。
そのためニコラス・マドゥロ大統領は、1ペトロが石油1バレルの価値を持つペトロを1億枚発行する指示をし、60億ドル(約6500億円)の調達を見込んでます。
仮想通貨発行の背景には、過去12ヶ月でベネズエラのインフレ率は4,115%に達し、ボリバルがその通貨価値が96%失いました。
そのためボリバルは暴落しベネズエラ経済は破綻したため、経済回復する方策を模索せざる得ない状況下にいますが、プレセールが60%オフが1ヶ月続くなど人気の無さがわかります。
ベネズエラの大学の先生の状況。大学内は治安が悪く危険。大学の先生の1ヶ月の給料はコーヒー数杯分、大学で教えるには逆に出費がかさむ。私学国立問わず状況は悪く、先生がもう無理となった時点で大学システムは崩壊。というかベネズエラの高等教育はすでに崩壊寸前。https://t.co/0MdpKR45fI
— Kanako Noda (@nodako) July 19, 2018
ベネズエラだって経済を正常に戻すチャンスは何回かあったはずなのにアホな選択をし続けて経済ボロボロ。
トルコも同じ道たどるのかな。アメリカから経済制裁されたら息の根止められるな。— え (@jfwoeklltoet234) July 27, 2018
今回の仮想通貨ペトロの普及に大きな力を入れており、ペトロをベースとしたユーズバンク設立や、インド・パレスチナなどと石油貿易や金融面で提携を結んでおりアフリカやインドなどの取引所に上場するようです。
大統領が掲げるベネズエラを救う方法とは
今回の新通貨を流通させる措置は、ベネズエラの金融・財政システムを革新的な方法により調整するためと指摘し、ベネズエラの通貨を切り替え、新通貨をペトロと紐づけることは
生産的で、多様性があり、持続可能な経済モデルの発展に向けた「大きな希望」
だとして、現状のインフレを解決できることを目指してます。
マドゥロ大統領は、デジタル通貨ペトロ(PTR)への信頼を表明し続けており、
「このペトロは最終的には、技術的・金融的にも確固たるものとして、国内および国際的な全ての経済活動で使われるようになります。」
と断言しております。
しかしその一方で、このような措置はどの問題も解決しないとして、経済学者マキシム・ロス氏をはじめとする複数の専門家から批判を受けてます。
野党議員の経済学者アンヘル・アルバラド氏も批判的な意見に同調しており、通貨の桁を切り下げたところで、インフレが解決できるわけないと語りました。
ベネズエラの将来とは
ベネズエラで仮想通貨が普及するのは、たしかに画期的でありメリットも挙がりますが、国内外において信ぴょう性が疑問視されています。
どの国もペトロに信用がしなければ、貿易をはじめとする経済繋がりは断たれ、
結局は
- ボリバル・ソブラノから現在のボリバル・フエルテ(VEF)に戻す
- 国民の混乱を招き、さらなる経済悪化を招く
など可能性が浮上します。
ベネズエラ政府は最近、ペトロを財源とする複数の社会事業を始めており、7月には住居・住環境省が、ペトロを財源としてホームレス向けの住宅建設に着手する計画を明らかにしてます。
5月にはマドゥロ大統領が、若者や学生による取り組みを支援するペトロを財源とした仮想通貨銀行の立ち上げを発表していますが、過去に立ち上げた事業はほとんどが成功せず、政府の浪費を招く形になってます。
そのため今回のベネズエラ政府の取り組みには、懐疑的な見方が多いですがインフレの激しい国で仮想通貨がどう貢献するのか今後の動きに注目です。