ICO

日本のICO規制は今どうなっている?現状の法規制と合法的なICOの解説

日本で金融庁が出したICOの規制状況

昨今賑わいを魅せるICOですが、2017年はおよそ7,000億円を市場から調達し、2018年は1月〜5月にかけて既に1兆4,000億円ものお金が調達されました。
しかし、盛り上がりを魅せる反面でその蓋を開けて見ると詐欺的なICOプロジェクトも混合しており、投資家保護の観点から見ると非常に危険な市場となっている事も事実です。

特に日本では2018年のコインチェックのハッキング事件以降、金融庁の仮想通貨交換業者に対する警告や注意喚起が厳しくなり、金融庁が主体となってこのICO市場の整備、健全な市場の育成に務めています。

ですが2018年8月現在、まだICOに関する完全な規制の枠組みは出来上がっていません。

なので、本記事では現状の日本でのICOについて上がっている法規制を部分的にピックアップして見ていきます。

改正資金決済法とICOの関係性

2017年4月、日本では「改正資金決済法」という新たな法制度が施行され、仮想通貨が決済手段として日本で合法化されました。
そして、それに伴い仮想通貨を取り扱う日本の仮想通貨取引所は金融庁が指定する「仮想通貨交換業」への登録が必須となったのです。

よって、日本では「仮想通貨」を売る場合は金融庁からの仮想通貨交換業者のライセンスが必要となったわけですね。

日本でICOをする場合仮想通貨交換業者への登録が必要?

さて、このような法規制が整備された事によって、日本発のICOプロジェクトにも実質的な規制が投入された事となります。

なぜなら、ICOによって発行されたトークンが「仮想通貨」に該当した場合、上述した通りそのトークンの販売元は仮想通貨交換業の登録が必要になるからです。

なので、日本でICOトークンを合法的に発行する場合、交換業者の登録を金融庁へ申請するか、生み出されるトークンが「仮想通貨」に当てはまらないように設計をするといった必要があります。

しかし、仮想通貨交換業の登録は比較的ハードルが高く、前提として仮想通貨の売買及び交換を事業として行う必要があり、更に財産的な要件として資本金が最低1,000万円無ければなりません。

これをICOをしたい普通の企業が登録しようと思うと、かなりハードルが高い事がわかります。
なので、現実的に日本で単独でICOを進めるならば「仮想通貨」に該当しないトークンを発行して売り出すしかないでしょう。

ICOトークンを「仮想通貨」ではなく「前払式支払手段」として売り出す場合

日本でICOを実行するとすれば、仮想通貨に該当しないトークンを発行して売り出すのが現実的だと説明しました。

ここで仮想通貨の定義について深くは話しませんが、大まかに言うと仮想通貨とは法定通貨では無く、電子的方法によって記録された財産的価値のある移転可能な通貨の事です。

そこでこの仮想通貨では無く、「前払式支払手段」に該当するトークンを売り出す場合は日本で合法的にICOを行う事が出来るとされています。

前払式支払手段とは?

前払式支払手段とは、利用者が予め現金などでポイントを購入しておき、後に提携の商品やサービスと交換出来る手段のこと。
電子マネーであるSuicaなどがその代表例にあたる。

例として、2018年7月にプレセールが開始した日本発のICOプロジェクト「ASOBI COIN」はトークンを「仮想通貨」としてではなく「前払式支払手段」として販売している為、日本でのICOが合法化されています。

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ただ、この前払式支払手段にあたる場合は既存の資金決済法上に定められた法規制に準拠してトークンを発行する必要があります。

ユーザー保護の為の供託の義務や、表示に関する義務、そして前払式支払手段の発行に関する報告義務などが生じてくる為、これもまた非常に複雑なプロセスとなってしまいます。

また、「仮想通貨」で無ければ、何だかイノベーションが働いていない感じも否めません。

このように、ICOに対する具体的な規制の枠組みはまだ無いものの、改正資金決済法をはじめとした仮想通貨に関する規制が絡み合っている為、日本では実質的に厳しい規制が既に進められていると言えるでしょう。

海外発のICOを日本人は購入する事が出来ない

続いて金融庁は、「日本の仮想通貨交換業登録が無い海外法人が日本居住者に向けてICOトークンを販売してはならない」と発言しました。

これによって今後日本居住者は無登録の海外のICO案件に手を出す事は出来ず、日本居住者は金融庁の目が行き通った範囲でしか仮想通貨やICOトークンに触れられなくなります。

例えば、マカオに本社を置くブロックチェーン・ラボは2018年2月に金融庁に無登録でICOの代理業や日本人向けにセミナーや勧誘活動を行っていた事で警告を受けました。

言わば、国内外どこであろうと、仮想通貨・ICOに関するビジネスは上述した「日本の金融庁による仮想通貨交換業」を取得しなければ出来ないという事になります。

問題は「日本居住者向けにビジネスをしていた」点であって、それが海外法人で海外の投資家向けのものであれば日本の規制対象にはなりません。

今後、海外の事業者が日本居住者向けにICOを行う際は恐らく皆日本で仮想通貨交換業の登録が必要となってくるでしょう。

合法的に日本国内でICOを実施する為には?

上述したようにベンチャー企業が日本でICOを実施するのはハードルが高く、また海外のICO案件を日本居住者向けに売るのも厳しい環境となりました。

なぜなら何度も述べた通り、日本でICOを行う為には金融庁から仮想通貨交換業の登録を受ける必要があるからです。

しかし、そんなハードルの高い日本の仮想通貨交換業登録を受けずに合法的に国内でICOを行う事が可能な方法もあります。

国内のICOプラットフォームを利用する

ICOのプロジェクト側が日本の交換業登録をせずにトークンを販売する方法として、既に交換業登録を済ませたICOプラットフォームを利用する方法が考えられます。

現在は大阪のテックビューロが展開しているCOMSAがICOプラットフォームを運営しており、同プラットフォームを利用する事で自社のICOトークンを交換業登録を済ませているプラットフォームに委託する事が出来るのです。

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ICOプラットフォームを利用する事で、プロジェクト側は法規制の障害をクリアし、より効率的にプロモーションする事が出来るようにもなるでしょう。

現在COMSAはまだ企業のICOプロジェクトを実行出来てはいませんが、今後の企業の資金調達の為の重要なパートナーとなるでしょう。

また、こういったICOプラットフォームはSBIホールディングスの子会社である「SBIキャピタルベース」も手掛けており、今後の日本のICOを支えるプラットフォームとなる事が期待されています。

IEOによってライセンスを持つ取引所を介してICOする

また、最近はICOではなく「IEO」と呼ばれる資金調達手法が話題を呼んでいます。

IEOとは、「Initial Exchange Offering」の略であり、既存のICOにおけるトークンの販売や配布を仮想通貨取引所に委託して行う資金調達方法です。

これによって、プロジェクト側は交換業登録を持つ取引所と連携してICOトークンの販売を行う事が可能となります。

IEOは合法的にICOを実施するだけでなく、取引所が各プロジェクトを審査して投資家へ販売する事でICO案件の詐欺防止や透明性の高い情報提供・トークン販売を行う事が出来るのです。

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日本でICOする為には仮想通貨交換業者が重宝される

以上がICOの規制に関してでしたが、現状はICOを行うにあたって仮想通貨交換業者登録が必須となっており、逆に既に交換業登録を行なっている企業はその稀少性が高まり、事業の多角化も図れる可能性を持っているとも見る事が出来ます。

今後、金融庁からのライセンスを得たICOプラットフォームや取引所が各ICOプロジェクトを仲介するようになれば、結果的に詐欺的で危ない案件を減らし、健全なICO市場の発展に寄与する形となるのではないでしょうか。

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Kenta Fujii
Kenta Fujii
新卒で入社した大手金融機関では、主に広告の運用やマーケティングに従事。その後は11ヶ月で退職し、金融・フィンテック分野に特化したフリーライターとして活動中。
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