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仮想通貨交換業者の規模は急拡大|金融庁が検査・モニタリングの中間取りまとめを発表

金融庁が仮想通貨交換業者に対する検査の中間とりまとめを発表

8月10日、金融庁は仮想通貨交換業者に対して行って来た検査・モニタリングに関する中間とりまとめを発表しました。

日本では2017年より仮想通貨の取引や交換に関する事業展開をする場合は金融庁へ「仮想通貨交換業」の登録が必須となっており、同年8月にはマネーロンダリング・テロ資金供与対策の専門官等で構成される「仮想通貨モニタリングチーム」が金融庁内に設置されています。

そこで金融庁は仮想通貨交換業を営む業者に対して内部管理規定についての書面審査、そして業者を訪問して運用状況等をモニタリングするといった厳しい審査を行い、仮想通貨交換業の登録を行っているのです。

ですが2018年1月にコインチェックが仮想通貨NEMを流出させてしまい、以降コインチェックとそれ以外の交換業者全てに対して更に厳格な立入検査を実施したのです。

そして2018年6月、金融庁は大手取引所であるbitFlyerにも業務改善命令を出し、それ以外の交換業者4社にも同じく改善命令が下されました。

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では、今回金融庁が実施して来た検査・モニタリングの中間取りまとめの内容について見ていきましょう。

仮想通貨は全て「暗号資産」と表記される

今回のとりまとめでは、仮想通貨の呼び名が全て「暗号資産」で統一されていました。

いわゆる仮想通貨、本とりまとめにおいては、以下「暗号資産」で基本的に統一

この暗号資産という呼び名は、仮想通貨は「通貨」としては使われない事を意味するのでしょうか。
今回の検査・モニタリングの結果に基づきそう呼ばれ始めたとすれば、この呼び方はとても意味深になってくるでしょう。

G20で既に仮想通貨は「暗号資産」と定義されている

そもそも2018年3月にアルゼンチンのブレノスアイレスで行われたG20サミットにて、金融安定理事会(FSB)のKnot会長は「仮想通貨が暗号資産である」と指摘していました。

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そこで現状仮想通貨は「法律が無い事による規制回避や資金洗浄などの利便性がある」と議論され、既存の法定通貨に取って代わる「通貨」として機能するのは難しいという結論に至ったのです。

しかし、これをどう捉えるかで今後の仮想通貨に対する見方は変わってきます。
仮想通貨は現状通貨としての役割・機能を全く果たしておらず、ビットコイン決済を採用しているビックカメラに関しても結局はビットコインを円に交換して受け取っています。

更に、上述した通りG20にて仮想通貨を暗号資産と呼び、今後も監視していく旨を発表していた事から、現段階では「通貨」よりも「資産」という表現方法の方が妥当であると判断したのでしょう。

暗号資産のその先とは

仮想通貨を暗号資産と定義された事で今後の市場に影響はあるのでしょうか?
今回の金融庁の呼び方に関して、Twitter界隈でも多くのコメントが残されていました。

仮想通貨を「資産」と定義する事で、それが安全となり今後より投資家の資産ポートフォリオに組み込まれるようになるという見解ですが、「安全な資産」として維持していく為には当然規制が必要となるでしょう。

また、資産になる事で課税の在り方も変わる可能性がある旨を主張するTweetも。

譲渡所得の分離課税対象となれば税率は一律で20%なので、「資産」という定義付けは投資家にとってもプラスの要素も多いようにも思えます。
では、それを踏まえ金融庁が出したとりまとめを見ていきます。

仮想通貨交換業者の会社規模は急拡大で総資産1年で6.5倍

今回発表されたとりまとめを見ると、仮想通貨交換業者の会社規模は前事業年度比で急拡大している事が分かりました。

全体の総資産は6.5倍に

下記図を見ると、仮想通貨交換業者の総資産合計は前事業年度が1,061億円であったのに対し、直近事業年度では6,928億円となっており、+652%の急拡大となっています。


引用:仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ – 金融庁

また、その内訳を見ると前事業年度まで総資産10億円未満だった交換業者が47%だったのに対し、直近事業年度ではその半分の24%まで縮小、そして100億円〜1,000億円の割合が12%から29%まで拡大しました。

去年の仮想通貨市場は短期間で急激に規模が拡大し、取引高も2〜3倍まで跳ね上がった事から各交換業者の資産も大きく増えています。

少ない役職員数で莫大な額の預り資産を管理している

なお、役職員数は比較的少なく、全体の内75%を占める割合で役職員数が20名未満とされています。


引用:仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ – 金融庁

また、役職員一人あたりの預り資産の割合は下記の通り、1億円以上の預り資産を40%の役職員が管理している状態です。


引用:仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ – 金融庁

そして、金融庁は役職員一人が管理する平均預り資産額は33億円にも及ぶと発表されています。

このように仮想通貨市場は各業者の体制が整う前からどんどんと規模が膨れ上がって行っていた事が見て取れます。
そこで、金融庁は拡大する市場に内部管理態勢の整備が追いついていない実態を把握します。

検査で把握された交換業者の実態

昨年の秋以降から仮想通貨取引が拡大し、莫大な利益を得る交換業者が増えていった中、それに伴う内部管理態勢の整備が追いついていない旨を金融庁は述べています。

金融庁は取り扱い暗号通貨の選定において、利便性や収益性のみが検討されており、セキュリティ面やマネロン等のリスクを評価した上での内部管理態勢の整備を行なっていないと指摘しています。

また、仮想通貨の販売において利用者の年齢、取引経験等を考慮した取引限度額の設定や販売を開始する基準が定められていない事も指摘していました。

この他にも、「リスク管理・コンプライアンス部門」「内部監査部門」の部門別に厳しい指摘がとりまとめにて述べられているので以下一部を抜粋しました。

・テレビ CM において、有名人が特定の暗号資産を連呼するなど、利用者の購買意欲を 煽る一方で、暗号資産のリスクに関する表示は数秒に留まっている。

・サイバー攻撃に関するリスクシナリオやコンティンジェンシープランを策定しておらず、 セキュリティに関しての研修を実施していない。

・マネロン・テロ資金供与対策や、システムリスクなどの監査を実施するために必要な専 門性・能力を有する監査要員が確保されていない。

・監査役は、利用者数や取引量の増加に伴い、業務を遂行するための人員が不足して いることを認識しているにもかかわらず、取締役会等において、人員の増強の必要性な どの意見を述べていない。

仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ – 金融庁

また、海外の無登録業社への対応についても言及があり、今後は海外の無登録業社への対応を利用者保護に向けてより広範かつ緊密な連携を図っていくとしています。
現在日本の交換業に無登録の状態である海外の仮想通貨取引所は日本で交換業登録をする流れになるかもしれません。

今後仮想通貨交換業者は更に厳しくなる見通し

以上のように、金融庁は引き続き厳格に立入検査等を行なっており、新規登録申請業者に対して更に深度ある実質的審査を行う必要があると述べました。

これまで、書面による形式審査だけでなく、システムの安全対応状況の現場訪問による確認など、実質面を重視した登録審査を行ってきた。
しかし、暗号資産を取り巻く 環境やビジネスが急速に変化することを踏まえ、当局審査も、さらに深度ある実質的な 審査を行う必要がある。
具体的には、業者のビジネスプランの聴取及びそれに応じた実効的な内部管理態勢や、利用者保護を優先したガバナンス態勢の状況について書面やエビデンスでの確認を充実させるとともに、現場での検証や役員ヒアリング等を強化する。
さらに、新たに登録された業者に対しては、暗号資産を取り巻く環境やビジネスの急速な変化を踏まえ、登録後の早い段階で立入検査を実施する。

仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ – 金融庁

つまり、今後交換業登録を行う業者は更に厳格化され、より厳しい審査を伴うという事となります。

現在金融庁へ仮想通貨交換業の登録を申請している業者は百数社に及ぶとされており、新規登録は順番待ちの状態となっています。

日本では交換業登録を済ませなければ仮想通貨の交換に関わる事業展開を行う事が出来ない為、その登録は極めて重宝されていると言えるでしょう。

上述した通り、海外の無登録業者も今後日本で業登録をする形となれば、現在数百社もある新規登録者の後ろに並ぶ必要があり、更に金融庁の基準に沿った仮想通貨の販売となるでしょうから、取り扱い可能な銘柄も絞られて来る事が予想されます。

厳しい環境ではありますが、それと同時に一層健全な市場の発展へ近づいている事でしょう。