ブロックチェーン

ブロックチェーン都市ドバイの現状と今後|スマートシティを目指すその戦略とは

ブロックチェーンを活用したスマートシティを目指すドバイ

アラブ首長国連邦の代表格であるドバイ(Dubai)は、2016年から「ブロックチェーン都市再編計画」を発表しており、ブロックチェーンを活用したスマートシティを目指しています。

元々ドバイはITやAIなどといったテクノロジーの導入に積極的な国であり、2017年5月にはドバイ警察がロボットの警察隊を正式に採用しました。

また、無人で人を乗せる「ドローンタクシー」のテスト飛行も開始しており、それらが当たり前のように普及すればまるでドラえもんの世界のようになるでしょう。

そんなドバイでは、今まで多くのブロックチェーンプロジェクトを発表しているのですが、本記事ではその取り組み内容と将来の可能性について述べていきます。

「世界一」にこだわるナンバーワン都市ドバイ

アラブ首長国連邦のドバイは石油からの依存を脱却して「金融・観光・IT・物流」といった産業の多様化を進めている国ですが、実はその歴史は浅く、建国されてまだ50年も経っていません。

しかし、そのたった50年程度でドバイは驚くべき進化を遂げてきました。
当時はそのほとんどが砂漠に覆われた砂漠地帯でしたが、石油が発掘された事で石油産業がメインとなります。
そこで、石油にいつまでもしない為に計画されたのがナンバーワン戦略を基にした巨大都市の構築でした。

さて、現在のドバイには、「世界一」の名が付く施設がたくさんあります。

例えば、世界一の高さを誇る高層ビル「ブルジュ・ハリファ」や世界一の広さを誇る「ドバイモール」、そして世界一の7つ星ホテルである「ブルジュ・アル・アラブ」など、他にも数え切れない程の「ナンバーワン」の施設があります。

それがドバイの「ナンバーワン戦略」であり、ゼロからグローバルに注目を集める都市へと成長したのです。
このようなドバイの背景から、今後のブロックチェーンを主としたテクノロジーの導入に関しても大きな期待が出来るでしょう。

ドバイでのブロックチェーン活用の取り組み

では、そんなドバイが実際に検討して導入を考えているブロックチェーンプロジェクトの事例を見ていきましょう。

ブロックチェーンを活用し観光サービスを最適化する「Tourism2.0」

2018年4月、ドバイの観光・商業マーケティング部門(DTCM)はホテルやツアーサービスにブロックチェーン技術を導入する「Tourism2.0」を発表しました。

ドバイの観光産業は現在GDPのおよそ10%を占めるようになり、ここ数年でドバイへの訪問者数も増加しています。
そこで、このTourism2.0は観光客とホテル、ツアーサービスを直接マッチング出来るシステムを構築しようとしています。

現在ホテルやツアーサービスを予約しようとした場合、そこには仲介者が介在している為に余分な手数料を支払う必要がありました。

しかし、ブロックチェーンを利用して情報を共有する事で、上述したような第三者を省いた直接的なマッチングを実現出来るようになるのです。

ドバイは2013年に「観光ビジョン2020プログラム」を立ち上げており、そこで2020年までに2,000万人の観光客を招き入れる事を目指すと発表しました。

そしてその後ドバイへの訪問者は2016年にはおよそ1,500万人となっており、これが世界4位の記録となりました。


引用:Global Destination Cities Index

その後の2017年は1,597万人で前年比6.2%の増加となっており、ブロックチェーンによって効率化された時には既に2その年間観光客は2,000万人を悠々と超えているかもしれません。

ブロックチェーンで登記が出来る「Dubai Blockchain Business Registry」

2018年5月、ドバイ経済開発省(DEC)はブロックチェーンを用いて企業がドバイでより効率的に事業展開出来るようにする「Dubai Blockchain Business Registry」を、「ドバイ・シリコン・オアシス・オーソリティ(DSOA)」と共同で開発していく事を発表しました。

同プロジェクトはスマートドバイとIBMも共同で開発に参入しており、これによってブロックチェーン技術を用いて登記が出来るようにします。
最初にこの制度が採用されるのが、上述したテクノロジー企業を誘致する経済特区DSOAであり、そこで初となるブロックチェーン上での事業ライセンス情報の共有が可能となります。

今後、ブロックチェーン事業を展開する事業者は増える事が予想されていますが、ドバイではそんなブロックチェーン企業の事業展開を支援します。

仮想通貨・ブロックチェーンによるグローバリゼーションは現在急速に進んでいますが、ブロックチェーン企業を誘致する国はドバイの他にもマルタやフィリピンなどが挙げられます。

特に世界最大の取引所であるBinanceは国を跨いで拠点を転々としているグローバルカンパニーであり、今後の企業のロールモデルともなり得るプレイヤーです。

そして、このドバイもグローバルなプラットフォーマーとなれるのか、その積極的な導入には今後も要注目です。

ブロックチェーン裁判所による司法制度の変革

2018年7月、ドバイ国際金融センター(DIFC)裁判所とスマートドバイは、グローバルな裁判の判決検証を支援する為に世界で初となる「ブロックチェーン裁判所」の創設を計画し提携しました。

これは従来の司法プロセスの簡素化と裁判によって重なる文書の重複を排除する為に計画されたものであり、ブロックチェーン技術を裁判に用いる事によって、その契約内容を改ざん不可能にしてシームレスに記録する事が可能となります。

もしも今後、裁判所がブロックチェーンとスマートコントラクトによって応用されるようになれば、情報を全てオープンに共有出来る分散型の裁判所が誕生する事となります。

2020年までに完全なるブロックチェーン都市を目指すドバイ

以上がドバイのブロックチェーンプロジェクトと戦略でしたが、ドバイは2020年までに政府を含む全てを完全にブロックチェーン化すると公表しており、その積極的な取り組みは世界でも有数でしょう。

また、2018年4月にはアラブ首長国連邦(UAE)の副大統領兼ドバイの首長でもあるShaikh Mohammed氏が「UAEブロックチェーン戦略2021」を発表しており、「2021年までに政府システムの50%にブロックチェーンを採用する」と主張しました。

政府取引にブロックチェーン技術が採用される事で年間に4億近く印刷されていた文書や、7,700万時間の労働といったコストを削減出来るとされており、同時に「UAEの生活の質を高め、国民の幸福度を上げる」とまでMohammed氏は語っています。

これは日本でも同じように、ブロックチェーン技術の導入によるコストや労働時間の削減によって国民の幸福度向上に繋げられるかもしれません。

特に少子高齢化が問題となっている日本では社会へのテクノロジー導入のインセンティブが高く、国の最適化の為にもブロックチェーンの導入は大きなチャンスとなり得ます。

なお、ドバイは2020年から2021年にかけて国際博覧会(ドバイ万博)の開催が決定されています。
その時期に向けて更なる都市開発が進んでおり、今後はブルジュ・ハリファの3倍の高さの2400mとなる「ドバイ・シティ・タワー」も建設が構想されています。

そのように将来の期待がかなり高いドバイは、今後他の国とは比べものにならない速さでブロックチェーンを反映させてくれるのではないかと筆者は考えています。

ABOUT ME
Kenta Fujii
Kenta Fujii
新卒で入社した大手金融機関では、主に広告の運用やマーケティングに従事。その後は11ヶ月で退職し、金融・フィンテック分野に特化したフリーライターとして活動中。
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