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LINEや楽天など日本企業が続々と仮想通貨事業に本格参入|その動きと今後の考察

LINEが独自の仮想通貨を発行し、楽天は仮想通貨交換業者を買収


現在日本企業は金融機関から非金融機関まで続々と仮想通貨事業への参入を検討・実行していますが、今回LINEと楽天に参入を本格化させる大きな動きがありました。

楽天は8月31日に仮想通貨交換業者の買収を発表し、同日にLINEは独自の仮想通貨の発行を発表したのです。

では、以下よりその2社の詳細と、その他の仮想通貨事業へ参入・検討している企業について述べていきます。

「みんなのビットコイン」を買収し仮想通貨交換業に参入する楽天

楽天は8月31日に仮想通貨交換業者である「みんなのビットコイン」を買収すると発表しました。

この仮想通貨交換業を手掛けるみんなのビットコインは、FX取引を軸とした証券業を手掛けるトレイダーズホールディングスの傘下でした。


引用:みんなのビットコイン

今回楽天はみんなのビットコインの全株式を2億6,500万円で取得し、完全子会社化する予定を取っています。

みんなのビットコインについてと今後のスケジュール

みんなのビットコインは「みんなのFX」でもお馴染みのトレイダーズホールディングスが手掛けていた仮想通貨取引所であり、現在同取引所は金融庁より正式な登録を受けていない「みなし業者」として位置しており、2018年4月には金融庁による行政処分を受けています。

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また、今回の楽天への株式譲渡実行は2018年10月1日とされており、その後楽天は同取引所は正式な交換業登録の完了を目指す予定です。

今回楽天はみんなのビットコインを2億6,500万円で買収したわけですが、現段階でみなし業者とされている取引所としては非常に割安な価格ではなかったのかと筆者は考えています。

マネックスグループがコインチェックを買収した際の買収額は36億円でしたが、それに比べると大幅な安値であるようにも見て取れます。

また、現在日本での仮想通貨交換業登録へのハードルは非常に高く、その審査が厳格化される中で今も100社を超える事業者が新規登録の順番待ちとなっています。

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そんな中、楽天にとって2.65億円という価格で「みなし業者」の取引所を買収出来た事は、今後の同社の事業展開を急速に速められる事となるでしょう。

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楽天は多数の事業セグメントとのシナジー効果を狙う

楽天は、今回の買収によって各グループ会社で手掛けているEコマースや証券・銀行・保険・ポイントなどの事業セグメントとのシナジーを図った「楽天エコシステム」を拡大させるとされています。

楽天は2018年2月に独自の仮想通貨である「楽天コイン」も発表していますが、これによってネット通販やオークションでの仮想通貨決済を促進します。

また、既存の楽天証券や楽天銀行の顧客を仮想通貨取引所へ誘致することもこれで可能となりました。

同じようにインターネット金融グループ大手のSBIホールディングスも仮想通貨取引所を設立したグループシナジーの構築を図っていますが、マネックスも含め、これで大手のネット証券グループは皆独自の仮想通貨取引所を構える事となりました。

LINEが独自の仮想通貨「LINK」を発行へ

2018年8月31日、LINEは独自の仮想通貨である「LINK」を発行すると発表しました。

このLINKは今後日本とアメリカを除いた海外で展開される予定とされており、日本では「LINK Point」といった名称で主にポイントとしての機能を果たすトークンとして発行される予定です。

さて、このLINKはLINEの仮想通貨取引所「BITBOX」と、LINE独自のブロックチェーンである「LINK Chain」で新たな経済圏構築の為に用いられます。

LINEは仮想通貨取引所「BITBOX」を開始

シンガポールに拠点を置くLINEの子会社である「LINE Tech Plus」は、仮想通貨取引所「BITBOX」を日本とアメリカ以外の国でローンチしました。

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同取引所は現時点で30種類の仮想通貨が取り扱いされており、法定通貨での仮想通貨の売買は実施されていません。

そして上述したLINKはこのBITBOXに9月より上場する予定とされており、各取引所の事例を見れば今後はLINKが同取引所内での基軸通貨として流通することも考えられるでしょう。

ただ、残念な事に日本では金融庁による厳格な規制と審査がある為にそのBITBOXを利用したりLINKを購入することが出来ません。

現状、日本で「仮想通貨」と定義されるトークンは仮想通貨交換業者でなければ扱うことが出来ず、合法的な「ポイントマネー」でなければ日本で普及させられないのが現状です。

よって、今後LINKは日本以外の国でグローバルに拡大するでしょう。

LINEエコシステムを拡大させる「LINK Chain」を発表


引用:LINK Network

また、LINEは2018年6月に「LINE Token Economy」の構想を発表しており、上述した取引所BITBOXや独自トークンLINKに加え、それらの基盤となる独自のブロックチェーン「LINK Chain」をローンチしました。

LINK Chainは同社の構想するLINEエコシステムの構築の為に開発され、そのブロックチェーン上で様々な分散型アプリケーション(Dapps)を構築し、各アプリケーションとユーザー間でLINKを用いた価値交換を実現させます。


引用:LINK Network

このように、LINK Chain上で作られたDappsは、ユーザーに対して何らかのインセンティブとして独自トークンLINKを還元出来るようになっており、これが同社の構想する「LINE Token Economy」なのです。

なお、LINKはコンテンツや商品の支払い、ゲーム内での取引、他の仮想通貨との交換などで利用する事が可能とされています。


引用:LINK Network

そしてLINEエコシステム上で得たLINKは取引所BITBOXにて他の仮想通貨と交換が可能です。(※日本の場合はLINK PointとしてLINEポイントと交換が可能)

また、今後は10件以上のLINK DappsのリリースとLINE Chainから派生したサイドチェーンが採用される予定となっています。


引用:LINK Network

 

以上がLINKを用いたLINE Token Economyの構想ですが、日本ではポイント用のトークンに留まってしまうという事で魅力は半減してしまうなというのが筆者の率直な感想であり、Dappsに相当な魅力が無ければ日本でLINKは流行らないかと考えます。

日本ではアソビコインが前払い式支払い手段のトークンとして合法的にASOBIトークンを販売しましたが、日本では仮想通貨では無くあくまで「ポイント」の普及に落ち着いてしまうのかなといった所です。

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これは相当なリスクを犯す事は少ないでしょうが、流行らせる為には価値の値上がり以外の確実なユーザーベネフィットが必要となってくるでしょう。

その他の仮想通貨事業に参入している日本企業

上述した楽天やLINEの他にも、続々と仮想通貨事業へと参入していますが、以下よりその事例を見ていきます。

デジタルアセットエコシステムを構築するSBIホールディングス

インターネット金融の大手であるSBIホールディングスは昨年から仮想通貨生態系を構築しており、グループ間シナジーを追求した「デジタルアセットエコシステム」の構築を目指します。


引用:SBIグループ 決算説明会資料

同グループは仮想通貨取引所を手掛ける「SBIバーチャルカレンシーズ」や、ICOプラットフォームを構築する「SBI CapitalBase」などが子会社に存在しており、米Ripple社とのジョイントベンチャーである「SBI Ripple Asia」も設立されています。

また、2018年8月20日にはみなし仮想通貨交換業者「c0ban(コバン)」を運営するLastRootsにも出資しました。

SBIグループはLastRoots社へ役員を派遣しており、経営体制の強化並びに仮想通貨交換業登録の促進を図っています。

SBIグループは仮想通貨取引所を内部で構築しましたが、セキュリティ関連の会社や仮想通貨・ブロックチェーン関連の会社へ内外問わず大きな投資を重ねています。

なお、みなし業者は16社から3社へと縮小していますが、今回のSBIグループのLastRootsへの出資から、同グループの仮想通貨業界全体の健全な発展に寄与していく姿勢も見て取れます。

メルカリも仮想通貨交換業の登録申請


引用:mercari

フリマアプリ大手のメルカリは2017年11月に子会社となるメルペイを設立しましたが、同社は2018年1月に仮想通貨決済の導入を発表しており、同時に仮想通貨交換業の登録申請を進めています。

メルカリは日本で6,000万のユーザー基盤を抱えており、仮想通貨決済を実際に導入すれば一気にその決済チャネルが普及することも予想出来ます。

ただし、仮想通貨交換業の登録に関しては上述した通り審査の厳格化もあり中々簡単には進められないでしょう。まだまだその基盤拡大には時間が掛かるようにも思えます。

なお、その他にもYahoo! Japanが仮想通貨交換業者であるビットアルゴ東京の株式を40%取得しており、今後仮想通貨取引所を展開していく予定となっています。

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非金融企業が新たなゲームチェンジャーとなるか

以上、続々と仮想通貨・ブロックチェーンを軸とした事業セグメントが各企業で展開されており、その流れはもう止められないだろうと筆者は考えています。

仮想通貨市場は現在低迷を続けていますが、その裏では莫大なお金をかけて取引インフラを構築する事業者や、間接的に関連企業へと出資するベンチャーキャピタルが存在しています。

このように、仮想通貨・ブロックチェーンは、すでに世の中のお金を大きく動かしているのです。

よって短期的に見ると下落相場の市場ではありますが、ゆっくりとその基盤は整っていくでしょう。

また、古くから存在しているレガシーな金融機関よりも、最近誕生したネット証券の会社や非金融機関の方が多く仮想通貨事業へ積極的に参入しています。

今後、それらの企業が既存の金融を変えるゲームチェンジャーとなれば、業界も市場も更に盛り上がるでしょう。

ABOUT ME
Kenta@フリーライター
Kenta@フリーライター
新卒で入社した大手金融機関を11ヶ月で退職し、仮想通貨・ブロックチェーンに特化したフリーライターとして活動中。現在は場所を選ばず住所不定の”Decentralized”な生活を満喫している。
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