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つくば市がブロックチェーンを用いたネット投票を実施したワケとは?

つくば市による日本初のネット投票

つくば市にて、日本初となるネット投票が導入されました。

衆議院解散総選挙の投票や参議院の改選挙の投票、もしくは地方選挙の投票など、民主主義社会で生きる私たちは、常に投票という行為で社会のあり方を決定しています。

この投票というシステムは、社会成員である我々の意見を均一に集計する方法としては非常に優れており、国家における権力の分散に一役買っています。

しかし、従来の投票システムにも欠点はあります。その欠点の一つが、投票の不便さです。

インターネット上でほぼ全てのことを完結させられる現代日本においても、投票作業はすべて、人の手を用いたアナログ的手法で処理されているのです。

このような問題に対して、かねてからインターネットを用いたネット投票がその解決策として提案されてきました。

しかし、インターネットという匿名性が高く、信頼性に欠ける媒体を投票に利用することは難しく、なかなか実現することはありませんでした。

そんな中、多くの研究機関が集まるつくば市にて、ブロックチェーンを活用したネット投票が実施されたのです。今回は、その背景をついて明らかにしていきたいと思います。

つくば市が投票にブロックチェーン技術を用いたワケとは

この度つくば市は、同市で実施されている「Society 5.0 社会実装トライアル支援事業」の最終選考にて、ネット投票を導入しました。

投票に伴い、つくば市の五十嵐市長は「ネット投票と最大の課題は情報の信頼性。本人確認と改ざん防止の仕組みがカギとなる」と指摘しており、その解決策として同市はブロックチェーンとマイナンバーカードを活用した投票システムを採用しました。

同氏はいわく、ブロックチェーン技術を用いた背景には、その信頼性の高さがあるといいます。

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投票データをブロックチェーン技術によって管理することで、データを一箇所に集中させることなく、分散管理することが可能になり、ネット投票導入の懸念材料である「投票結果の改ざん」を防ぐことができると同氏は述べています。

さらに、ネットを通して遠隔投票が可能なため、近年問題視されている投票率の低さを改善させることができるのではないかとの期待も寄せているそうです。

つくば市で実施されたブロックチェーン投票のシステム

つくば市で導入された日本初のネット投票は、828日の1016 つくばカピオホールで実施されました。

投票期間中、投票者は専用のパソコンに取り付けられたカードリーダーに、投票者のマイナンバーカードをかざし、電子証明書のパスワードを画面に入力して本人確認をおこないます。

操作自体は非常に簡単で、パソコン画面の指示に従えば、ボタン一つで投票することが可能です。

五十嵐市長が「もっと複雑な手続きになるかと思っていたが最小限で簡単という印象。非常に未来を感じた」と語るように、この投票システムは従来のものと比べても利便性が高いといえるでしょう。

しかし今回の投票では、データの暗号に伴う負担が大きいなどの課題点も散見され、自宅のパソコンやスマホなどから投票するには、技術的に解決しなくてはいけない問題点もあったといいます。

日本におけるブロックチェーン投票の今後

既に、欧米の数カ国では、ブロックチェーンを用いた電子投票システムが実験的に導入されています。

今回、つくば市でおこなわれたネット投票の総投票数は合計119票と、規模としてはまだまだ小さいものでしたが、これに続くかたちで、ブロックチェーンを基盤としたネット投票が今後日本でも普及していくかもしれません。

実際に、ネット投票を世界で初めて国政選挙に導入したエストニアでは、年を重ねるごとにインターネットを通して投票する有権者が増え、2015年にはその割合が全投票率の30.5%にまで上りました。

特にこの制度を採用してから、国外滞在者の投票率が向上したといいます。在外選挙人証を申請するまでに数ヶ月かかる日本と比べると、そこには大きな差があるといえるでしょう。

また、投票におけるブロックチェーンの活用は、投票の利便性や安全性を高めるだけではなく、費用面でもおおきな意味を持っています。

特に、衆議院総選挙などの大規模な選挙では、投票場の確保から開票に伴う人件費まで大きな手間がかかり、衆院選一回の実施にかかるコストは800億円とも言われています。

そのような中、ブロックチェーンによるネット投票システムを活用することで、今まで人の手によって処理していた情報を機械で迅速かつ安価に処理することが可能になります。

そのように考えると、今回実施されたつくば市の実験的投票システムは、日本における選挙のあり方を変える大きな足がかりとなったといえるでしょう。

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ブロックチェーン投票によって選挙の投票率が上がるかも

「若者の政治離れ」が叫ばれるようになってからと久しく、201710月におこなわれた衆議院選の投票率は、20代で33.85%と約3人に1人しか投票していません。

そして、この比率は年々減少傾向にあり、これから日本を担っていく若者の意思が国策になかなか反映されていません。

そもそも、デジタルネイティブと呼ばれる彼らにとって、わざわざ貴重な自分の時間を削って選挙会場まで足を運び、投票するということが非効率的で理解しがたいことなのかもしれません。

そんな中、つくば市で実施された今回の試みは、若者が投票に求めるニーズを見事に満たしているといえるでしょう。

 

ブロックチェーンを用いたネット投票がより普及すれば、投票という行為が彼らのライフスタイルにマッチして、若者が今以上に政治に対して興味関心を抱くようになるのではないでしょうか。

今後の動向にぜひ期待したいと思います。

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