仮想通貨

近鉄ハルカスコインとは?デジタル地域通貨の実用化が目前に

仮想通貨は地方の自治体にまで影響力が及んでいる

仮想通貨元年と呼ばれた2017年は、ビットコインが飛躍した年になりました。その後、イーサリアムやリップル、ライトコインなど多くの仮想通貨が誕生しました。

仮想通貨は投資対象としての役割も大きいですが、最近ではブロックチェーン技術を活用したシステムやサービスが増えてきていることから、活用範囲がさらに広がっています。

仮想通貨とブロックチェーン技術の影響力やノウハウは企業や団体だけでなく、今や地方の自治体にまで及んでいます。

その中でも、注目されているのが「近鉄ハルカスコイン」です。どのような特徴があり、利用者にどんなメリットがあるのか、そして、実用化はいつなのかなどについて説明します。

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近鉄グループ×三菱総合研究所による社会実験

近鉄ハルカスコインは、鉄道会社の近鉄グループとブロックチェーン技術のノウハウを持った三菱総合研究所がタッグを組んで開発された地域仮想通貨です。

近鉄グループといえば、大阪を始めとする京都や奈良、三重などの都市を結ぶ主要な役割を担っている鉄道会社です。

その他にも、日本一高い高層複合ビルの「あべのハルカス」やテーマパークの「志摩スペイン村」、ホテルや旅館、旅行代理店の「クラブツーリズム」など幅広く事業展開しています。

そんな大企業とタッグを組んでいるのが三菱総合研究所です。

三菱総合研究所では、医療や介護、環境、エネルギー、防災、宇宙科学、先端技術、情報通信、ビッグデータなど様々な分野のプロフェッショナルな人材が集まっています。

顧客は、中央省庁や各地方自治体、民間企業など幅広い顧客層を獲得しています。

そんな大企業の2社が新たに開発しているのが「近鉄ハルカスコイン」プロジェクトです。

近鉄ハルカスコインとは、近鉄グループの施設やサービスの支払いに利用するデジタル地域通貨です。

ブロックチェーン技術を活用しているため、電子マネーやクレジットカードよりも安全に安く利用できます。

また、利用者も店舗側も携帯端末さえあれば、すぐに決済可能なため、申し込みやカード等の発行の手間もありません。

使い方はとても簡単で、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、コインをチャージ後、対象の店舗でアプリを起動してQRコードを読み取るだけです。

チャージは1,000円から可能で、店舗のカウンターやチャージ機でチャージできます。

近鉄ハルカスコインは個人間での譲渡も可能です。専用アプリに表示された指示に従って操作すれば、初心者でも簡単に行えます。

2回社会実験は201810月から開始予定

近鉄ハルカスコインは近鉄グループ会員(KIPS)の5,000人を対象に、201791日から101日までの1ヶ月間に第1回社会実験を行いました。

実験店舗はあべのハルカスの約200店舗と近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店、展望台、あべのハルカス美術館です。

現金5千円に対して、1万コイン(1コイン=1円相当)を発行しました。実験結果は決済処理にトラブルは見られず、実用可能であることが実証されました。

201810月には、さらに規模を拡大した第2回社会実験が行われる予定です。実験の詳細は、以下の通りです。

  • 実験期間: 2018101日から1210
  • 実験参加者: KIPS会員なら誰でも参加可能(約165万人)
    20181130日まで参加者募集しており、期間中に入会した人も参加可能です。
  • 実験施設: あべのハルカス(近鉄百貨店、展望台、美術館)、近鉄グループ施設、大阪
    市立美術館、天王寺動物園、あべのハルカス周辺の商店会
  • 通貨発行: 千円単位でチャージでき、10万円まで可能
    チャージした現金の10%が期間限定で付与されます(1コイン=1円相当)。

参考:http://www.kintetsu-g-hd.co.jp/common-hd/data/pdf/sai180907hd20180907140715362968405.pdf

今回の実験では、各店舗の固定QRコード決済やコインチャージ機の試験運用、期間限定プレミアムの付与、個人間譲渡などの実証実験が行われる予定です。

本格的な実験が予定されていますが、実用化されるのはいつなのでしょうか。

近鉄ハルカスコインの実用化は2019年度内を目途に

近鉄ハルカスコインの実用化は、2019年度内を目指しています。そのためにも、第2回社会実験の成功が必須といえるでしょう。

仮に、次回の実験で不具合や大きなトラブルが発生すれば、2019年度内の実用化がさらに遠のく可能性があります。

そうなれば、日本のデジタル地域仮想通貨の普及は、さらに海外に遅れを取ることになるでしょう。

Twitter上でも、近鉄ハルカスコインへの期待や注目が高まっていることがコメントから分かります。

日本と海外のブロックチェーン活用の差は大きい

日本で世界初の仮想通貨ビットコインが注目されたのは、ビットコインが暴騰を見せた2017年と、マウントゴックス事件が報道された2011年でした。

前者ではビットコインへの期待は高まるものの、後者の出来事によって、そう多くは投資対象として見る人は多くありませんでした。

一方、海外では早い段階から仮想通貨やブロックチェーン技術に興味を持つ人が多く、2016年には英国で、世界初となる独自のローカルコイン(Hullcoin:ハルコイン)が誕生しています。

地域の小売業者が積極的にハルコインを利用できる仕組みを設け、ギフトやボランティア参加者への謝礼として利用されています。

配布されたハルコインは、地域の小売業者の商品やサービスにも利用できるため、地域社会の発展に大きく貢献することが可能なのです。

また、スウェーデンではすでに国内でのキャッシュレス化が進んでおり、現金の流通量は2%以下であることで世界の注目を集めています。

日本では、2020年のオリンピックイヤーに向けて、各自治体でも独自の地域仮想通貨の発行を検討、開発が進められています。

仮に、2019年度中に近鉄ハルカスコインが発行された場合でも、2016年には発行されたハルコインと比べると、最低でも3年以上の遅れをとっていることが分かります。

大阪から世界への発信も可能

現時点では、デジタル地域通貨の実用化を目指す自治体は少数派で、デジタル地域通貨の普及にはまだ時間がかかりそうです。

しかし、英国やスウェーデンのように現金やクレジットカード以外の決済を行い、普及している成功例があります。

そのため、デジタル地域通貨は日本だけでなく、世界的に普及していくことでしょう。

また、近鉄ハルカスコインの中心でもある大阪は、外国人観光客にとって人気の高い観光地のため、大阪から世界へ向けた発信も可能で、利用者が増えていく可能性も考えられます。

何より、自治体が関わっているプロジェクトだからこそ、信頼感があります。

興味のある人は、ぜひ、KIPS会員に入会した上で、デジタル地域通貨がどのようなものなのか、実際に体験してみてはいかがでしょうか。

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