仮想通貨

自動車業界が仮想通貨に興味を示す理由は?各社の開発状況を徹底解説

仮想通貨、いよいよ自動車業界へ

今、仮想通貨は様々な業界に受け入れられ、新たな商品やサービスを生み出す上で重要な役割となりつつあります。

世界初の仮想通貨として誕生したビットコインは、少額の送金を可能にする目的を掲げ、社会や経済に大きなインパクトを与えました。

その後、スマートコントラクトなる新たなプラットフォームとなるイーサリアムや、IoT(モノのインターネット)と連携を目指すアイオタなど様々な仮想通貨が誕生しました。

そして、将来に向けた新たなプロジェクトが自動車業界で始動しています。そこで、自動車会社が仮想通貨業界に興味を示す理由やどのように関わっているのかについて説明します。

自動車会社が仮想通貨に興味を持つのはなぜか

自動車業界では、自動運転システムや自動ブレーキシステム、コネクテッドカー(常時ネット接続されている自動車)など、次々と新しい技術が開発されています。

22世紀を描いたアニメ「ドラえもん」で登場する未来の車は、運転免許を必要とせず、子供たちだけでも目的地に簡単に運んでくれます。

私たちの子ども時代には、自動運転の車など夢のまた夢だと考えられてきましたが、数十年経ち、まさに今、「ドラえもん」の世界が現実になろうとしているのです。

開発が進められる中、仮想通貨やブロックチェーン技術が様々な分野に活用できる可能性が議論されるようになり、自動車業界でも未来カーの開発に向けた取り組みが進められています。

では、自動車会社にとって仮想通貨やブロックチェーン技術の魅力とは何だったのでしょうか。

仮想通貨の魅力としては、有料道路や駐車場、電気自動車の充電料金、カーシェアリングなどの決済に利用できる可能性が見出された点が大きいといえるでしょう。

とくに、記録データの改ざんが非常に困難な点やスマートコントラクト(契約の自動化)によるスピーディな手続きや契約が可能なことは、自動車会社にとっても魅力の一つだといえます。

ブロックチェーン技術の活用にいたっては、様々な分野で新たなプラットフォームとして開発が進められている点からも、大いに期待ができる技術であることは言うまでもありません。

仮想通貨は金融商品としてだけでなく、法定通貨や電子マネーなどの役割をも担う存在として活用され始めています。

何よりも、仮想通貨やブロックチェーン技術が私たちの暮らしをさらに豊かにするものであると信じているからこそ、舵を大きくきることを決断したのでしょう。

各自動車会社は仮想通貨をどのように料理するのか

メルセデス・ベンツやフォード、BMW、トヨタなど国内外の自動車会社は、仮想通貨をどのように活用しようとしているのでしょうか。

ここでは、国内外の大手自動車会社を例に、開発状況について説明します。

ケース1.メルセデス・ベンツ(ダイムラー)

メルセデス・ベンツで知られるダイムラー(ドイツ)は、独自通貨「MobiCoin(モビコイン)」発行の構想があることを発表しました。

モビコインを入手するためには、環境に優しいドライバーであることを証明する必要があります。

具体的には、各ドライバーの運転データがダイムラーに送信され、その運転データに基づいて環境に配慮した優良ドライバーへの報酬としてモビコインは付与されます。

しかし、現時点ではモビコインがその他の仮想通貨や法定通貨と交換できるかどうかは発表されていません。

ケース2.フォード

フォード(アメリカ)では、独自トークン「CMMP(協調型合流追い越し管理)トークン」の発行により、渋滞緩和できる「CMMPシステム」の特許申請が行われています。

フォードは、交通渋滞が起こる原因はドライバーの心理によるものが関係しており、個々が移動時間の好みを重視することによって悪化した時に発生するのだと見解を示しています。

その対処法として、CMMPシステム」が有効であるとしており、渋滞緩和に貢献したドライバーへの報酬として、CMMPトークンが付与されます。

具体的には、別の車両が追い越しや専用車線に入りたい時に、速度の遅い車両用車線に移動するなど別の車両を優先してあげることで、他の参加者からトークンを受け取れるのです。

一方、目的地への到着時間が遅れていて追い越しをしたい車両がトークンを支払うことで、10分間に別の車両の追い越しが可能になります。

つまり、ドライバー同士の譲り合いをCMMPトークンの受け渡しによって円満に解決することで、渋滞緩和をすることが可能だということです。

ケース3.BMW

BMW(ドイツ)は、仮想通貨スタートアップ企業のVeChain Thor(ヴィチェーン)やcarVertical(カーバーチャル)とパートナーシップを締結したことを発表しています。

ブロックチェーン技術の活用により、運転データや走行距離、燃費などのデータの管理がブロックチェーン上で可能になります。

さらに、製品の品質を容易に確認できるというメリットもあると考えられています。

具体的には、ERC20トークンのDOV(ドゥヴ)を活用し、リース車両の走行距離を追跡するシステムの開発が進められています。

リース車両のドライバーは走行距離を画像によって提出することで、DOVトークンを報酬として受け取ることができます。

ケース4.ポルシェ

ポルシェ(ドイツ)は、ブロックチェーン、AIの研究企業のXain(ゼイン)とパートナーシップを締結し、「ブロックチェイニング・カー」を開発することが発表されています。

ブロックチェイニング・カーとは、イーサリアムのスマートコントラクトを活用することで、サーバーを経由しなくてもオフライン接続が可能な車両を指します。

具体的には、ブロックチェーン技術をベースにしたアプリで、リモート操作による車両のロックやロック解除も可能です。

また、ブロックチェーンによって車両のデータ管理が可能なため、第三者に愛車を安心して預けることも可能になります。

ケース5. アウディ

アウディ(ドイツ)では、ブロックチェーン研究チームによるPOCProof of Concept)システムの開発が発表されています。

すでに、POCシステムではIBMのブロックチェーン製品「ハイパーレッジャー・ファブリック」上で、技術テストが行われています。

この技術テストは、物流と金融間でのデータの透明性とセキュリティの高さを検証するために行われています。

同社の研究チームには、物流や金融、IT、製造といった様々な分野の代表によって構成されています。まさに、精鋭部隊といえるでしょう。

さらに、アウディは将来、仮想通貨を決済方法として検討していることを発表しており、実現は近い将来にあることを示唆しています。

ケース6. フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲン(ドイツ)では、仮想通貨IOTA(アイオタ)とタッグを組み、自社のサービスに仮想通貨や分散型台帳技術を活用する構想があることを発表しています。

2018年のドイツで開催されたITの見本市では、アイオタの「タングルシステム」を活用した自動運転車両向けの概念実証のデモンストレーションが行われました。

タングルとは、ブロックチェーンを活用していないため、取引手数料が無料で、よりスピーディな送金可能なことで、「次世代のブロックチェーン」とも呼ばれています。

このタングルを活用することで、無線でデータを安全に通信することが可能になるのです。

今後、コネクテッドカーの需要が高まることで、大規模なソフトウェアのアップデートやデータ通信が予想されています。

つまり、アイオタのタングルシステムは、将来を見据えた自動車会社にとって、魅力あるシステムなのです。

ケース7.BYD ビー・ワイ・ディー)

出典:http://www.byd.com/en/index.html

隣国中国の自動車会社BYDでは、ブロックチェーン企業の「ヴィチェーン」やリスクマネジメント企業の「DNV GL」と提携し、大規模なプロジェクトを発表しています。

中国は、CO2排出量世界1位ということもあり、ブロックチェーン技術を活用したCO2削減も目指しています。

CO2の削減を促すために、「カーボンクレジット(炭素排出量削減証明)」という報酬を与える制度も検討されています。

また、ブロックチェーン技術を活用することで、車両の走行距離や燃費、メンテナンス状況などのデータ管理、車両情報の一括管理も可能になります。

乗用車を対象とした計画ですが、最終的にはバスや列車などの大型車両への採用も計画されています。

ケース8.トヨタ

仮想通貨やブロックチェーン技術を活用する自動車会社は海外だけではありません。世界3位の販売台数を誇るトヨタもブロックチェーン技術の活用を模索しています。

アメリカのサンフランシスコに拠点を置くテクノロジー研究部門の「TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート」」がイーサリアムの技術を活用することを発表しています。

TRIはイーサリアムの技術を共同研究していくことを目的としたEEA(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)を立ち上げ、トヨタを始めとする企業が名を連ねています。

TRIは、イーサリアムのスマートコントラクトを活用し、全自動運転装置の開発を進める目的があるのだと考えられています。

今後、トヨタによる方針が発表されることに注目したいですね。

自動車×仮想通貨×未来は?

7社の自動車会社が掲げた未来には、仮想通貨やブロックチェーン技術が必要不可欠なものであることが分かりました。

仮想通貨は決済手段として利用でき、ブロックチェーン技術は安全性や透明性の高いデータ管理が約束されることでしょう。

それにより、交通渋滞や交通事故の軽減にも繋がるかもしれません。

私たちは、仮想通貨やブロックチェーン技術が自動車や関連製品・サービスに活用されることで、より身近なものに感じられることでしょう。

個人的には、オンライン接続可能な車両が乗っ取りにより偶発的に事故を起こす映画のワンシーンは現実に起き得ると感じています。

その点、アイオタによるサーバー経由なしのオフライン無線による通信システムの実現を目指すフォルクスワーゲンとアイオタの発展に期待しています。

仮想通貨もまた別な視点で見てみると、投資にも活かせるかもしれませんね。

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