ブロックチェーン

DAO(自律分散型組織)とは?スマートコントラクトを用いたその仕組みを解説

DAO(自律分散型組織)とは?


DAO(自律分散型組織)とは「Decentralized Autonomous Organizarion」の略であり、ブロックチェーン技術におけるスマートコントラクトを用いる事で、中央管理者を不在にして自律的に動き続ける組織の事です。

今までの「組織」というのは、そこに組織をまとめるリーダーがいて、その下に参加者や労働者が存在していました。

今日の株式会社にいても、そこには経営者(管理主体)が存在していて且つ労働者も存在していますよね。

これがDAOであれば、経営者といった管理主体を抜きにし、そこに参加する労働者(ユーザー)のみで組織を構成する事が出来るようになります。


言うならばビットコインやイーサリアムなどもDAOと呼ぶ事ができ、いずれも管理不在でもプロトコルに従って参加者が自律的に動き続ける仕組みを構築しています。

更に、そのビットコインやイーサリアムは参加者であるマイナーによって健全なネットワークが作られており、それによって事実上改ざん不可能な仕組みを構築しています。

このように、従来の組織ではその組織を管理者である「人」が全て管理していたのに対し、新たなDAOの組織では全てがコードによって書かれた「プロトコル」によって管理されるのです。

DAO(自律分散型組織)とは、中央管理者を不在にして自律的に動き続ける組織のこと。

 

スマートコントラクトを用いたDAO(自律分散型組織)の仕組み

では、DAOの仕組みとそれに用いられるスマートコントラクトについて見ていきます。

あらゆる契約を自動執行するスマートコントラクト

このDAOの根幹技術となるのが「スマートコントラクト」と呼ばれる技術です。

スマートコントラクトとは?

仲介者を介在させず、一連の契約や取引を管理者不在で自動執行出来る技術のこと。

スマートコントラクトとは。仲介者を不在にする未来の契約の形仲介者が不在となるスマートコントラクトブロックチェーン技術は、分散化された仮想通貨を誕生させた後に次々とそれが応用され、取引所、...

そもそも私達を取り巻く組織や日常では、あらゆる契約によって全てが成り立っています。

例えば、家を借りるなら「賃貸契約」が必要であり、結婚する場合は「婚姻契約」が必要です。

また、経営者と雇用者の関係も全て「契約」によって成り立っており守られています。

このように、現代において必要な「契約」を全てスマートコントラクトを用いて代替えする事で、仲介者である人間を不要にして進める事が可能となります。

DAOによって「Code is Law」の組織が実現する

スマートコントラクトによってあらゆる契約を自動的に執行出来るようにしますが、それによって第三者による信用が不要な「トラストレス」の組織も構築する事が出来ます。

上述した既存の契約は、主に国会や行政機関といった第三者が存在した上で成り立っており、そこには「信用」という要素が必要不可欠となっていました。

しかし、第三者不要のスマートコントラクトでは、そこに記述されたコード(契約)のみが正しいルールとなり、仲介者や管理者による信用は必要ありません。

これが「Code is Law」であり、ブロックチェーンに記録されたソースコードがその組織の法律となるのです。

スマートコントラクトを用いたDAOによって、あらゆる契約が自動執行され、ブロックチェーン上に記録されたコードのみが法律となる。

 

組織を変革するDAO(自律分散型組織)のメリット

では、DAOのメリットについて見ていきましょう。

意思決定権が分散化する

既存の組織における「最高意思決定機関」はその中心に存在する「リーダー」であり、組織の下に置かれるメンバーはリーダーの意思決定によって左右されます。

しかし、DAOではリーダーたる者が存在せず、ネットワークに参加するユーザーの一人一人が意思決定権を持つようになるのです。

例えばビットコインでは、特定の権力を持った人が存在している訳ではなく、変更点があればネットワークに参加するユーザーの51%以上の合意が必要となります。

このように、あらゆるルールが権力者ではなくネットワークの参加者によって決められるようになり、権力者による組織の中央集権化が無くなります。

契約に関するコストを削減出来る

そして、DAOによってあらゆる契約が自動執行されるので、大幅な組織のオペレーションコストが削減出来るようになります。

企業がDAOの仕組みを導入する場合、従来かかっていた人的コストや工数の削減や、契約の締結に関する書類の削減など、あらゆるものが効率化されるようになるでしょう。

なお、世界でも上位の取引所である「Huobi」は、2018年6月にその事業をブロックチェーンへ移行してDAOになるという計画を公表しました。

HuobiのCEOであるLeon Li氏はHuobiが「ブロックチェーンを用いた真の分散型組織を構築する」と発言しています。
今後、HuobiがDAOの先駆者となって分散型組織の代表格となるかもしれませんね。

・DAOはその意思決定権を単一のリーダーではなく、ネットワークに参加する一人一人が持てるようになる。
・スマートコントラクトを用いる事で、大幅な人的コストや工数の削減を図る事が可能となる。

 

分散型投資ファンド「The DAO」と後に起こった「The DAO事件」について

The DAOとは?

このようなDAOの仕組みを応用したのが「The DAO」と呼ばれるプロジェクトであり、「DAOトークン」を用いて管理者不在の投資ファンドを組成していました。

このThe DAOは、DAOトークンを購入する事で分散型の投資ファンドへ参加する事ができ、DAOホルダーの「投票」によって投資先が決まるといった仕組みです。

なお、DAOホルダーはThe DAOのネットワークにおける提案を管理する「キュレーター」も同時に投票で選出し、そして投資の成果に応じた利益がDAOホルダーに還元されるようになっています。

The DAO事件

The DAOは最高意思決定機関がない自律的な組織となり「投資ファンド」の概念を変えてしまう程の革新性があったのですが、2016年6月、THE DAOはハッキングされてしまったのです。

The DAOは当初ICOによってETHを約150億円分資金調達していたのですが、大量のETHが謎のトランザクションによって移動され、その被害額がおよそ65億円にも及びました。

これが「THE DAO事件」と呼ばれるもので、不正送金によって犯人が得たETHをどうするかという問題がイーサリアム開発者の中で起こったのです。

革新性の高いDAOでしたが、その脆弱性を突かれてしまうという致命的な欠陥が課題となりました。

DAOを応用して管理者不在の投資ファンドを組成したのが「The DAO」だったが、後にETHを約65億円ハッキングされてしまう。

イーサリアムクラシックの誕生についてはこちらから

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DAO(自律分散型組織)は将来の組織を創り上げるか

以上がDAOについてでしたが、革新性が高い反面課題点も多く残ります。

規制の問題

上述したThe DAOは現在米証券取引委員会(SEC)によって有価証券と認定されていますが、今後もDAOに基づいたトークンが発行された際に、それがどのような法的位置付けで、どの国で規制されるのかが不明確だと言えるでしょう。

DAOであれば国に関わらずグローバルに組織を構築出来るのですが、それに伴うリーガルリスクがまだ課題点だと言えます。

また、DAOのネットワーク参加者が極端に少ない場合、参加者の十分なコンセンサスが得られない可能性も起こり得るでしょう。

ハッキングやトランザクションの問題

また、The DAO事件のようなハッキングのリスクや、トークンのトランザクションにおけるバグや処理の遅延などが頻発する事となれば、既存の組織と比べて逆にコストが高くついてしまう懸念もあります。

このように課題が山積みとなっているDAOですが、まずは法的位置付けの明確化が必要であり、ユーザーが安心して参加出来るような当局の審査なども必要となってくるかもしれません。

ポテンシャルの高いDAOですが、「法規制」「流動性」「スケーラビリティ」の3点の問題をクリアすれば、DAOは組織の代案となる可能性があると考えています。

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Kenta Fujii
Kenta Fujii
新卒で入社した大手金融機関では、主に広告の運用やマーケティングに従事。その後は11ヶ月で退職し、金融・フィンテック分野に特化したフリーライターとして活動中。
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