ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash/BCH)

ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークで通貨分裂|その後の影響や価格、取引所の対応は?

本記事では、ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークに関する背景やその影響、取引所の対応から価格推移までを詳しく解説していきます。

ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークが成功して通貨が分裂


2018年11月16日、ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークが実行され、BitcoinABCの「BCH ABC」と、BitcoinSV「BCH SV」の2つの通貨とが分裂した事が確認されました。

日本時間の午前3時頃、ロジャー・バー氏がCEOを務める「Bitcoin.com」にて、BitcoinABCのハードフォーク実行ブロックとなる「556767番目」のブロックがマイニングされたのですが、これによって完全にそれぞれのチェーンが分岐し、互換性の無い通貨として両者存続していく形となりました。

なお、通貨分裂後も互いに優劣を付ける為の争いは継続されており、両者のハッシュレートを比較すると、2018年11月18日現在そのレートは僅差となったり差が開いたりと、激しい攻防が繰り広げられています。(※オレンジがBitcoinABSで赤色がBitcoinSV)


引用:CoinDance

では、以下よりビットコインキャッシュのハードフォークの背景や価格への影響などを見ていきます。

ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークにおける背景とは?

ビットコインキャッシュは2018年11月15日にソフトウェアのアップデートを目的としたハードフォークを行う予定とされていましたが、以下よりその背景を覗いていきましょう。

ビットコインキャッシュ(BCH)のアップデートに伴う対立

そもそもビットコインキャッシュが誕生した目的は、ビットコイン(BTC)のブロックサイズを拡大する為でした。

元来のビットコインのブロックサイズは1MBでしたが、その取引処理能力を向上させる為に1MBから8MBへとブロックが拡大された「ビットコインキャッシュ」が2017年8月に誕生、そしてその後の2018年5月には、ビットコインキャッシュのブロックサイズが8MBから32MBへと更に拡大されています。

そして、ビットコインキャッシュの更なる機能改善の為のアップデートが今年の11月15日に予定されていたのですが、その「アップデート内容」を巡って、ビットコインキャッシュの主要なソフトウェアである「BitcoinABC」と、nChain社の提案するソフトウェアである「BitcoinSV」の両開発チームとが対立する事となったのです。

BitcoinABCとBitcoinSVとの対立

両者それぞれはビットコインキャッシュに関するアップデート案を持っており、ロジャー・バー氏やビットメインCEOのジハン・ウー氏が率いる「BitcoinABC」では主に技術的なアップデートを、そして自称サトシ・ナカモトと名乗っていたクレイグ・ライト氏が率いる「BitcoinSV」ではブロックサイズを32MBからその4倍となる128MBへと拡大させるアップデートを提案していました。

そこで、両開発チームのどちらのアップデート案を採用するかを決定させる為に「ハッシュ・ウォー(ハッシュ戦争)」と呼ばれる方法が用いられたのです。

ハッシュ・ウォーとは?

ハッシュ・ウォー(ハッシュ戦争)とは、ビットコインキャッシュのアップグレード案として、対立した両チームの間でハッシュレートを最も多く集め、支持を得たチェーンの方を採用するというものであり、ハッシュパワーを集約する事でよりブロックを長く記録した方をメインチェーンとして認識する事とされていました。

この争いによって各仮想通貨取引所では本家ビットコインキャッシュの取引を停止し、Poloniexではフォーク前にBitcoinABC、BitcoinSVの両通貨を「先物取引」という形で公開されました。

このハッシュウォーによる対立は仮想通貨市場最大となる規模で繰り広げられ、現在もビットコインキャッシュの「BCH」を継承する為の内戦が勃発しているのです。

ライト氏はロジャーバーにメールで「くたばれ」と脅迫を送る

11月3日、上述したBitcoinSVを率いるクレイグ・ライト氏は、BitcoinABCを支持しているロジャー・バー氏に一通のメールを送付したのですが、そこには「ビットコインキャッシュの価値をゼロにする」「Shitコイン」「くたばれ」などといった脅迫的な内容が書かれていました。


これに対してロジャー氏は、11月8日に自身が投稿した動画内で「このような言葉は、40歳以上の大人のビジネスマンが言うような事ではありません」とコメント。

このように、まるで子供の喧嘩ような挑発を行ってまでビットコインキャッシュのお家騒動は繰り広げられていたのです。

ビットコインキャッシュ(BCH)ハードフォーク後の影響と取引所の対応

ハードフォーク後、現状はBitcoinABCが優勢となる

その後、上述した通り両者はハードフォークによって互換性の無い2つの通貨へと分裂しましたが、2018年11月19日現在、両者の現状のデータを比較してみると、下記図の左側に記載のある「BitcoinABC」の方がハッシュレート50%を上回る62%を記録しており、BitcoinSVに対して優位となっている事が明らかです。


引用:CoinDance

ですがこの数値は随時乱高下しており、以前はBicoinSVのハッシュレートが70%を超えるシェアを獲得していた時もありました。

しかし、ロジャー・バー氏の率いる「Bitcoin.com」がBTCからBCHへとハッシュパワーのリソースを大幅に切り替えた事をきっかけに、その後一気にBitcoinABCのハッシュレートが優位となりました。

11月15日当時、Bitcoin.comのハッシュパワーは4000Ph/s(ペタハッシュ)となったのですが、これはBCHの過去最高のハッシュパワーだったとも言われていました。

しかし、このハッシュ・ウォーによる争いはまだ続く事が予想されており、最終的な勝敗の行方は予測がし難いと言えます。
引き続き、このお家騒動には十分な注意が必要でしょう。

大手取引所Binanceではハードフォークによる分裂通貨の両方に対応

大手の仮想通貨取引所であるBinanceは、11月16日に分裂したBCHABCとBCHSVの両方を同取引所に上場すると発表しました。

BinanceはBCHを保有するユーザーに対して1:1の割合で「BCHABC」と「BCHSV」をそれぞれ配布しており、以下のように、既に正式に両通貨が上場されています。


なお、各通貨は上場後の現在大きな乱高下を魅せており、特にBCHSVは大幅な下落となっています。


なお、Binanceでは今回の分裂通貨の上場によって、本来の「BCC」というティッカーシンボルが廃止され、BCC自体の取引ペアも廃止されました。(※通常ビットコインキャッシュは「BCH」と表記されているが、Binanceでは「BCC」と表記。)

HuobiはBCHABCを正式な「BCH」として表記

一方、大手の仮想通貨取引所であるHuobiは、分裂したBCHABCを正式に「BCH」として継続させると発表しました。

Huobiは今回の分裂に伴う「リプレイプロテクション」を確保しており、「現状BCHABCの方が長いチェーンを構築している」という理由から、そのような決断に至りました。

リプレイプロテクションとは?

リプレイプロテクションとは、ハードフォークによって分岐した仮想通貨にて、悪意ある攻撃者が相互の取引データをコピーして不正な送金を行う「リプレイアタック」を防ぐ技術のこと。

なお、もう一方のBCHSVは「BSV」として同取引所に上場する事となります。

また、日本でもBCHのハードフォーク対応については各取引所でアナウンスがありましたが、新通貨の上場については金融庁による登録等が必要とされる為、すぐすぐに分裂通貨が上場される事は考え難いとされています。

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ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォーク後の価格は?

ビットコインキャッシュ(BCH)はハードフォーク前に大きく下落している

11月の月初からハードフォークによる新通貨付与の期待が高まり大きく上昇していたBCHですが、その後徐々に価格は下落し、14日以降は急激に価格を落とす事となりました。


引用:TradingView

この下落の要因に関しては、以前から分裂の可能性がある2つの通貨を先物形式で取引していたPoloniexにて、一時BCHSVの価格がBCHABCの価格を上回った事が一つ考えられます。

>Poloniexによる分裂通貨の先物取引についてはこちらで紹介

また、大手仮想通貨取引所である「OKEx」もBCHの先物取引を提供していましたが、同取引所はその先物取引を急遽停止し、早期清算を行う事を発表しました。


引用:OKEx

ハードフォークによって高いボラティリティを魅せていたBCHですが、OKExはそのボラティリティによる投資家の損失回避を目的に先物取引の清算を行ったと言います。

以上の2つの出来事からBCHは大きく下落を魅せたのです。

ハードフォーク後も下落傾向に。今後その価格はどうなる?

ビットコインキャッシュはハードフォーク後、11月19日現在までにかけてその価格を420ドル台から380ドル台へと落としました。


引用:coinmarketcap

なお、19日現在Binanceに上場されているBCHABCとBCHSVの価格はそれぞれ「BCHABC=263USDT」「BCHSV=100USDT」となっていますが、これらの新通貨の価格の合計値は本家ビットコインキャッシュの同日の価格を下回っているのです。

分裂に伴う両通貨の激しい戦いが繰り広げられる中、その先行きが不透明である事もあり、まさに市場は「混乱」している状況と言って過言ではないでしょう。

昨年8月にBTCとBCHが分裂した際は、その合計値が本家BTCを上回った為、多くの投資家が得をする結果となりましたが、今回においては現状BCH単体の価値を下回った価値となっているのです。

引き続きハッシュ・ウォーによる両通貨の争いは続く事が考えられますが、その結末次第で価格は大きく動く事が予想される為、十分に注意しておいた方が良いでしょう。

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Kenta@フリーライター
Kenta@フリーライター
新卒で入社した大手金融機関を11ヶ月で退職し、仮想通貨・ブロックチェーンに特化したフリーライターとして活動中。現在は場所を選ばず住所不定の”Decentralized”な生活を満喫している。