税金

仮想通貨の脱税事例を公開!知っておくべき申告漏れへの対策案とは?

仮想通貨投資による利益に課せられる税金

 

仮想通貨投資によって大きな利益を得た人も、そうでない人もすべての人に公平に義務付けられているものがあります。それは納税です。

仮想通貨投資で利益を得た場合、その利益が確定したのと同時に税金が課せられ、利益の金額に応じて課税される割合は異なるのです。

適切に納税していれば問題はありませんが、意図的であれ、意図的ではないにしても脱税の疑いで厳罰に処される可能性があります。

そこで、今回は仮想通貨投資で脱税をした事例と共に国税庁が申告漏れ対策としてどのような取り組みが行われているのかを説明します。

税務調査で分かった1,000億を超える追徴税額

 

2018年11月29日、国税庁は所得税に関する税務調査を行いました。調査対象となった期間は、2017年7月から2018年6月までの1年間です。

調査結果により分かったのは、所得税の申告漏れの総額が9,038億円(前年度 8,884億円)にも及んでいたことでした。これは、前年度から1.7%の増加を示しています。

これを受け、国税庁は追徴税の総額1,196億円(前年度 1,112億円)を徴収することとなったのです。

国税庁「平成29事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」

所得税の申告漏れの多いものの1つに挙げられるのが近年、時価総額の規模を広げている仮想通貨投資によるものです。

仮想通貨市場はまだ歴史が浅く、課税に対する知識が不足した一般の人も非常に多かったためでもあるといえるでしょう。

ただ、中には意図的に節税しようとして脱税を働いてしまう人も少なくないのです。

税務調査で明かされた脱税事例

今回の税務調査では、仮想通貨取引によって得られた利益を申告しなかった脱税の事例も同時に公表されています。

公表された仮想通貨取引をめぐる事案は、会社員男性が複数の仮想通貨交換会社に自分や妻名義の口座を開設したが、妻名義などの利益を申告しなかった。東京国税局は男性に約5千万円の申告漏れを指摘、重加算税を含め約2400万円を追徴課税した。

出典:https://www.nikkei.com

会社員男性は意図的に脱税を目論み、事前に自分名義の講座以外にも妻の名義で複数の講座を開設していたのです。

本人はバレないだろうと思っていたのかもしれませんが、結果として東京国税局によって会社員男性の申告漏れを見つけ出しました。

そして、意図的に脱税を行ったと判断されたため、最大で40%課される重加算税を含めた金額の納税を求められたのです。

手元に資産が残っていれば支払うことが可能ですが、仮想通貨取引による利益を再投資する、豪遊して使い果たしてしまっていたとしたら、一気に破産に追い込まれることでしょう。

  • 重加算税とは、申告が必要な事実を隠蔽、申告しないなどの場合のペナルティとして加算される税金の1つです。
  • 延滞税とは、確定申告が遅れる、税務調査によって申告漏れが見つかった場合にかかる税金で、最大で年利6%かかります。

現行法では最大で55%の税金がかかる場合もある

出典:国税庁「所得税の税率」

 

2017年4月、改正資金決済法が施行されたことで、仮想通貨には消費税がかからないことが認められました。

その一方で、仮想通貨取引によって得られた利益は所得の一部として区分され、確定申告では雑所得として申告する義務があります。

税率計算には、所得税の速算表で累進課税による課税方式が取られています。

株や為替などの金融商品の投資を行っている人なら、仮想通貨に課せられた税金の高さに驚くことでしょう。

なぜなら、金融商品は仮想通貨の累進課税とは異なり、分離課税で税率は20%なのです。

さらに、損益通算することが可能なため、前年に赤字だったとしても今年が黒字であれば、相殺することができます。

こうした仕組みの違いもあり、市場が冷え込んでいる仮想通貨市場から手を引く投資家がいたり、仮想通貨市場に参入しない機関投資家の存在がいたりするという訳なのです。

  • 累進課税とは、課税対象の金額が増えるにつれ、税率も高くなる課税方式のことをいい、最大で55%の税率(住民税を含め)となる可能性があります。
  • 損益通算とは、ある一定期間の中で発生した利益と損失を相殺することができる仕組みで、節税対策にもなります。

マルサからは逃れられない

 

「マルサ」という言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。

一般の人にはあまり馴染みはない言葉かもしれませんが、投資で多額の利益を得ている人は知っておく必要があります。

マルサとは「国税庁査察部の通称」で、税金を故意に申告しない一部の人たちを徹底的に調査してその証拠をあげる、いわば「申告漏れ発見のスペシャリスト」といえるかもしれません。

マルサによって告発され、裁判に発展すると100%の確率で有罪になるという東京国税局の調査結果も公表されています。

東京国税局「平成29年度 査察の概要」

刑事裁判を題材にしたドラマのタイトルにもなり、広く一般に知られたのが検察庁の起訴率99.9%をさらに超えた有罪率の証拠を探し出し、告発するのがマルサの役割なのです。

この事実を知っても尚、脱税をしようと考える人は少ないでしょう。多額の脱税をすれば、マルサによって証拠集めされて裁判に持ち込まれれば、有罪になること間違いないのですから。

申告漏れへの国の3つの対策案

 

仮想通貨取引によって得た利益は所得税として申告する義務があることは冒頭でもお伝えしました。

しかし、実際には少しでも節税しようと申告漏れをする人が後を絶ちません。多くの人は勘違いしているからです。

確定申告の時期が過ぎても何の連絡もなかったから、脱税がバレなかったと考えるのは安易に考えすぎだといえます。

なぜなら、確定申告の時期が過ぎてもマルサによる調査は行われているケースもあるためです。

ではここで、11月29日に国税庁が公表した申告漏れの3つの対策案を確認しておきましょう。

対策案その1.情報照会制度を設ける

1つ目は、情報照会制度を設けるという案です。海外ではすでに制度化している国もあり、日本に比べて早い段階で申告漏れ対策を行っています。

仮想通貨取引における取引履歴や取引を行った人の個人情報は、すべて仮想通貨交換業者によって管理されています。

仮に、Aという仮想通貨取引所で仮想通貨取引をする個人投資家Bが脱税の疑いがあるとします。

国税庁は取引所Aに対し、Bの個人データを提供するよう言った場合、現行法ではあくまでも取引所Aの自主性に任されています。

そのため、取引所Aが拒否すればBの個人データの入手ができません。

しかし、情報照会制度が設けられれば、取引所AはBの個人データを国税庁に提出するよう義務付けられます。

ただ、個人情報の保護という点も考慮する必要があるでしょう。

そのため、仮想通貨取引で1,000万円を超える利益があり、その半分以上の申告漏れがあった場合などケース分けした制度が考えられているようです。

とはいえ、「1,000万円を超える利益がないから自分は大丈夫だ」と過信しないようにしましょう。

対策案その2.仮想通貨交換業者による源泉徴収を行う

 

2つ目は仮想通貨取引による利益に対し、仮想通貨交換業者が源泉徴収を行うという案です。

取引に関与する仮想通貨交換業者によって源泉徴収が行われれば、申告漏れを言い逃れることはきっと困難になることでしょう。

気になるのは、技術的にそのシステムを組み込むことが可能であるかどうかです。

実際には、仮想通貨で行われるとすれば、初のシステムということになります。

しかし、すでにクラウドファンディングなどでも似たようなシステムが存在することから、実現可能だと考えられています。

ただ、気がかりなのは日々価格の変動が激しい仮想通貨の価値をどのようにして計算するのかという点です。

たとえば、ビットコインでは2017年末に220万円を記録しましたが、2018年12月11日時点では39万円を下回っています。

このように、仮想通貨は価値の変動が激しいことから、源泉徴収は現実的に難しいのではないかという意見も少なくないようです。

対策案その3.仮想通貨取引にも「法定調書」の義務付けをする

3つ目の案として、「法定調書」の義務付けをしようという意見も上がっているようです。

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。

出典:国税庁「法定調書の提出義務者」

法定調書には、支払調書や源泉徴収票が含まれています。つまり、2つ目の案である仮想通貨交換業者が源泉徴収を行うということが前提条件となる訳です。

いずれにしても、仮想通貨交換業者に求められる役割がさらに厳しくなっていくことが予想されます。

とはいえ、仮想通貨投資で利益を得た人の多くが所得税を申告している訳ですから、納税者と脱税者の公平さを保つためにはこれらの取り組みも必須となってくることでしょう。

税金対策や確定申告の仕方はこちらの記事をご覧ください。

 

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税金は免除されることがない

 

仮想通貨投資によって得られた利益は、所得税として申告する義務があることがお分かりいただけたことでしょう。

何より申告漏れによって意図的であれ、意図しないものであれ、加算税がかかることを考えると、正直に申告した方がリスクも低いし、多額の追徴課税を収める必要がなくなります。

節税する場合でも、その方法が合法的なのか、それとも違法なのかをしっかり情報収集した上で、申告漏れがないようにしましょう。

万が一、自己破産申請を行った場合においても、税金は免除されることがありません。

そのことを肝に銘じておきましょう。

 

2017年末の仮想通貨の暴騰で「億り人」となった人々の中には、莫大な課税額によって天国から地獄へと転落する人も少なくありませんでした。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

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上記のように、仮想通貨投資で得た利益によってご自身の人生が苦難の道とならないよう、確定申告を行うようにしましょう。

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なかむら*あゆみ
なかむら*あゆみ
外食産業からフリーランスのWEBライターに転向。現在は仮想通貨関連のジャンルを中心にペット系やビジネス系のジャンルも執筆しています。 趣味は読書とミュージカル鑑賞、そして、愛犬と一緒にゴロゴロすること。初心者の方にも分かりやすい文章で「仮想通貨・ブロックチェーンの魅力」をお届けします!
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