仮想通貨

日本や世界各国のICO規制動向のまとめと今後の展開についてを考察

投機目的のババ抜きとなってしまったICO市場

2017年に空前のブームを魅せたICOですが、昨年は約6,000億円規模の資金が調達されました。

しかし、華やかしい成功を収め投資家にその資源を配分したICO案件はごく一部です。

その実態は「90%以上が詐欺」という悲惨な結果が出ており、大半が最初に参加した投資家が後から参入する投資家のお金をむしり取るババ抜きとなってしまっていたのです。

そこでICO市場を健全に発展させるべく、もうやりたい放題にはさせまいと言わんばかりに世界中でこのICOについて見直され、各国で規制が検討されるようになったのです。

では以下より、日本を始め世界各国のICO規制動向についてを見ていきます。

日本のICO市場と金融庁による規制状況

仮想通貨を決済手段として合法化した日本では、ICOについてどういった位置づけで育てていくか議論が何度もされていましたが、まだ具体的な規制案等は出ていません。

ですが、2018年のコインチェック事件以降金融庁が警告や注意喚起などを厳しく促すようになりました。

そんな日本の金融庁でまず上がったのは、「日本の仮想通貨交換業登録がない海外法人が日本居住者に向けてICOを販売してはならない」ということでした。

日本居住者は海外のICOに参加することができず、ICOを日本で展開する為には日本で交換業登録を実施しなければならないというスタイルとなるかもしれません。

最近では分散型取引所(DEX)の出現もあり、実際一つ一つを取り締まるのは不可能ではないかと筆者は考えますが、もしそのような規制案が施行されるとなればグローバルな投資や資金調達の速度が弱まり、日本の交換業者の既得権益を強めることにもなり兼ねません。

また、その後2018年の4月には金融庁主催の「仮想通貨研究会」が開かれ、ここでICOについての議論が行われました。

そこではICOの利点や問題点が議題に上がり、みずほ総合研究所の三宅氏は「ICOのメリットにも目を向けながら規制を設ける」と述べています。

まだ日本でははっきりとした規制を何も提示していない進捗ですが、今後ICOをより大きなものに育てていくという方向性は見て取れます。

中国はICOを全面的に規制

中国では世界でも一早くICOを禁止した国であり、「ICOは金融詐欺、ネズミ講」と発言して2017年の9月あっさりとして禁止をかけました。

これによって最も人口の多い国である中国は中国政府という中央集権によってICOを完全閉鎖され、アクセスができなくなりました。中国では2017年の9月4日にICOの禁止を宣言されたことから、これを「9.4公告」と呼んでいます。

なお、現在でも中国規制当局側は厳しい規制体制を緩めることなく引き続き監視を続けるとされています。

そして今年4月11日には中国大手の小売り業「アリババ」や通販サイト「タオバオ」などでプラットフォーム上の店舗によるICO関連サービスの提供を禁止すると発表しました。

このように、中国のICOに関してはまるでイノベーションが働かないようになっているのです。

経済大国の中国が仮想通貨を規制緩和する可能性や将来の展望中国と仮想通貨 2017年は「仮想通貨元年」とも呼ばれるほど、仮想通貨が世界で注目される年でした。先陣を切っていたのが中国です。 ...

ICOトークンは証券か。アメリカのSECによる規制状況

アメリカの証券取引委員会(SEC)は、ICOにおけるトークンは証券であるという見解を示しています。

この規制に関する見解のはじまりは2016年にハッキングを受けて話題となった「The DAO」であり、事件後SECは「DAOは証券である」と位置づけ、登録や認可を受けずにICOで資金調達をした場合は違法に値するとされています。

このSECの今後の見解がおそらく世界中のICO規制に影響をもたらすと考えており、仮にICOトークンが全て証券とみなされれば、ICOトークンを取り扱う取引所はSECによる登録と認可の対象となります。

更に、米証券先物取引委員会の委員長であるGary Gensler氏はICOトークンのみならずリップルやイーサリアムも証券に該当する可能性があると指摘しました。

仮に上の上位通貨が証券と見なされれば、既存の米仮想通貨取引所から全て上場が撤廃される可能性もあります。

このようにアメリカでは、ICOにおけるとても厳格な精査をして投資家保護を徹底していく予定でしょう。

その他世界各国でのICO規制状況

日本やアメリカ、中国の他にも様々な国で規制が進行されていますが、以下個別に見ていきます。

ICOを禁止した韓国

韓国国内では中国と同様にICOが禁止されています。

国内ではICOに関連する詐欺案件が増えるようになり、韓国政府はこれを食い止めるようと2017年9月に禁止令を発表しました。

これを受けてICOを計画している韓国企業は海外に法人を設立してICOを実施するようになり、韓国の大手チャットアプリの「カカオ」もICOを検討しているその内の1社です。

ICO規制に本腰を入れたオーストラリア

オーストラリア証券取引委員会(ASIC)はICOに関するガイドラインを昨年の2017年10月に発行しており、他の国よりも早期の段階で規制の枠組みを作り上げました。

オーストラリア政府は国内の取引所へライセンスを付与しており、仮想通貨に関する新しいルールの整備が比較的出来上がりつつあります。

オーストラリアでは、ICOに関しての法的位置付けは各トークンの構造によって決まるとされており、種類によって消費者法や会社法などがそれぞれ適用されます。

規制によってマネーロンダリングや消費者保護を徹底しつつ、オーストラリアはこの革新的技術を育てる方針でしょう。

なお、ガイドラインに関してはASICのページより閲覧できます。

規制を強めるシンガポール

シンガポールの中央銀行であるシンガポール金融管理局(MAS)では、ICOトークンを証券先物法の対象として規制する方針を示しています。

昨年2017年の11月にはオーストラリアと同様にトークンに関するガイドラインが公表されており、株式としての取り扱いであったり発行者の負債をトークン化するような形式だと既存証券のように目論見書の提出を義務付けるとしています。

ICOの規制と今後

以上が世界各国のICOに関する規制状況でしたが、今後最も重要となるのはやはりアメリカのSECの見解でしょう。

現にSECは3,200万ドルを調達したCentraのICOが詐欺であると告発しました。

このように後から詐欺や禁止だと言われては困るので、現在はICO市場の伸びが鈍化傾向にあります。

もしSECによって多くのICOが有価証券とみなされるようになれば、仮想通貨やトークンといった独立した状態ではなく、既存の有価証券と同じ類に入れられることになるのです。

SECは規制の方針を示したガイダンスを年内に発表するとしており、それによって世界中のICOが影響を受けるでしょう。

しかし、しっかりとした規制があることで本当に資金を欲するスタートアップ企業は越度を持った資金調達を実現できると考えています。

実際に規制が曖昧なお陰でほんの一握りは儲かりましたが、90%は詐欺に遭い、ICOのプロジェクターもCentraのように「違法か合法か」を問われて複雑なことになる訳です。

そして、「ICOトークンが証券か、何なのか。」の議論は全くもって生産性がありません。

どれだけ考えても規制当局の規制一発で決まるからです。

なので、本来はどこの国もわかりやすい規制やガイドラインを作って早い段階で法制化するべきだと筆者は考えています。

その後に規制の兼ね合いで揉めに揉めて裁判で数年争うようなことが立て続けに起こってしまっても困るのです。

やはり、ガチガチに固められた規制を投資家も、開発者も望んでいるのかもしれません。