仮想通貨

仮想通貨の税金対策とは?計算方法や確定申告など、必須の知識を解説

仮想通貨に税金の知識は必須

仮想通貨投資に挑戦する人が増える中、投資で得た利益には税金がいくらかかるのか、いつ払うべきなのか、という疑問を持つ人も少なくありません。仮に投資で成功し、大きな利益を得たとしても、税金に関する知識が不足していると、突然、高額な課税徴収に戸惑う可能性があります。

しかし、投資の前に、適切な税制知識を身につけていれば、年度末の確定申告や税金の支払いがスムーズに行えます。本記事では、仮想通貨投資で税金が確定するタイミングや、利益にかかる税率など、基礎的な税制知識を解説します。

仮想通貨の税金の計算方法は?

仮想通貨で得た収入は雑所得に分類されます。前知識として、所得には全部で10種類あり、それらを「総合課税」と「分離課税」の2つのグループに分けて税額を計算します。

分離課税は、その他の所得と切り離して一律20.315%の税率が課されます。一方、総合課税は全ての所得を合算し、金額に応じて15-55%の税率が課されます。株式投資やFX投資などの利益は分離課税に分類されますが、仮想通貨に関しては未だ税制が整っておらず、総合課税の雑所得として高い税率が課せられることになっています。

仮想通貨の利益は他の所得と合算する

総合課税である仮想通貨の利益は、給与所得や事業所得などと合算します。そのため、サラリーマンや個人事業主の場合は、本業の収入と合わせて税金を計算する必要があります。

所得にかかる税金には、所得税と住民税の2種類あります。このうち住民税は一律10%ですが、所得税は所得額に応じて下記表の税率が課されます。ここで注意すべきは、所得金額の求め方です。

下記表の所得金額は、各種控除を適用した後の金額であるため、年収500万円の人の税率が必ずしも20%になる訳ではありません。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円を超え 330万円以下

10%

97,500円

330万円を超え 695万円以下

20%

427,500円

695万円を超え 900万円以下

23%

636,000円

900万円を超え 1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円を超え4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

最終的な所得税納付額を求める具体的な手順は下記の通りです。

  1. 収入から経費を引き、所得を求める
  2. 所得から所得控除金額を引き、課税所得(=上記表の所得金額)を求める
  3. 課税所得に所得税率をかけ、所得税額を求める
  4. 所得税額から税額控除額を引き、最終的な所得税納付額を求める

この考え方は、サラリーマンと個人事業主どちらの場合にも当てはまります。それでは、以下項目でケース別の税額計算方法を見ていきます。

サラリーマンの場合

一般的な会社員の場合、所得のメインは会社からの給与になります。ここでは、例として配偶者を扶養している年収500万円のサラリーマンが、仮想通貨投資で300万円の利益を得て、合計収入が800万円になったと仮定します。

まず、サラリーマンの給与には、経費として給与所得控除が認められており、年収ごとに控除額が定められています。年収500万年の場合、500万円×20%+54万円=154万円が給与所得控除額となります。

また、給与所得控除のほか、各種控除として基礎控除(38万円)、配偶者控除(38万円)、社会保険料控除(60万円)を適用します。(注:実際は全部で14種類の控除があり、個人の状況により適用される控除が異なります)

サラリーマンの所得税納付額の求め方:

1.収入から経費を引き、所得を求める

            収入500万円−給与所得控除154万円=346万円

            これに仮想通貨投資の利益300万円をプラスした額が所得となる

            346万円+300万円=所得646万円

2.所得から所得控除金額を引き、課税所得(=上記表の所得金額)を求める

            所得646万円−各種控除計136万円=課税所得510万円

3.課税所得に所得税率をかけ、所得税額を求める

            課税所得510万円×20%=所得税額102万円

4.所得税額から税額控除額を引き、最終的な所得税納付額を求める

            所得税額102万円−42万7,500円=59万2,500円

以上が、サラリーマンの場合の所得税の求め方となります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合も基本的な考え方はサラリーマンの場合と同じですが、収入の求め方が異なります。 まず、個人事業主の場合は経費がかかります。事業で儲けを出すために投資をした分の金額が収入から引かれるため、サラリーマンに比べて収入金額が少なくなる場合があります。

さらに個人事業主の確定申告には、 青色申告と白色申告が存在し、申告方法により受けられる控除に違いがあります。大まかに言えば、青色申告は白色申告に比べて帳簿の付け方や提出書類などが少々複雑になる代わりに、 青色申告特別控除という10万円から最大65万円の所得控除が受けられます。

ここでは、例として下記の条件で個人事業主の所得税額を求めます。

  • 事業所得500万円
  • 仮想通貨投資で得た利益300万円
  • 経費250万円
  • 青色申告特別控除20万円
  • 所得控除136万円(基礎控除38万円、配偶者控除38万円、社会保険料控除60万円)

個人事業主の所得税額の求め方:

1.収入から経費を引き、所得を求める

   事業所得500万円−経費250万円=250万円

   これに仮想通貨投資の利益300万円をプラスした額が所得となる

   250万円+300万円=所得550万円

2.所得から所得控除金額を引き、課税所得(=上記表の所得金額)を求める

   所得550万円−(青色申告特別控除20万円+所得控除136万円)=課税所得394万円

3.課税所得に所得税率をかけ、所得税額を求める

   課税所得394万円×20%=所得税額78万8千円

4.所得税額から税額控除額を引き、最終的な所得税納付額を求める

   所得税額78万8千円−42万7,500円=所得税納付額36万500円

以上が個人事業主の場合の所得税額の求め方になります。経費が大きくなる分、課税所得はサラリーマンに比べて少なくなります。

仮想通貨は利確のタイミングで課税対象になる

仮想通貨にかかる税金は、下記のタイミングで発生します。

  • 仮想通貨を売却した時(日本円や他の法定通貨に換金した時)
  • 仮想通貨で商品を購入した時
  • 仮想通貨を他の仮想通貨と交換した時(例:ビットコインでリップルを購入など)
  • 仮想通貨で新規ビットコインを取得した時

仮想通貨の売買で利益を得る場合は、仮想通貨を売却した時点、いわゆる利確のタイミングで課税対象となります。仮想通貨を長期保有目的で購入した場合、含み益のままであれば税金は発生しません。

注意すべきは仮想通貨で別のコインを購入した場合

仮想通貨を売却し、円やドルなどに換金した場合に税金が発生するのは多くの人が想定しますが、注意すべきは、仮想通貨で他の仮想通貨を購入した場合です。例として、2017年の1月に1BTCを100万円で購入し、その後、値上がりした1BTCでリップルなど他のコインを購入したと仮定します。

時系列:

  • 2017年1月 1BTCを100万円で購入
  • 2017年12月 1BTCが200万円に値上がり

通常ならば、上記のように保有しているビットコインが値上がりしても、利確しなければ税金は発生しません。しかし、値上がりしたビットコインで他のコインを購入すると、その時点でのビットコインの評価額と1月のビットコイン購入時の価格の差が課税対象となってしまいます。

  • 2017年12月 1BTC(評価額200万円)でリップルを購入

              ↓

リップル購入時の1BTC評価額200万円−2017年1月の1BTC購入額100万円=差額100万円が利益とみなされ、税金が発生する。このケースでは、手元に現金がないにも関わらず、100万円分の所得税がかかってしまいます。

さらに最悪のケースでは、年をまたいだ2018年1月にリップルの価格が暴落してしまうパターンがあります。

  • 2018年1月 リップルが暴落し、評価額200万円→10万円に

仮にリップルの暴落が2017年内であれば、利益と損失を通算できるため最終的な課税所得は下記のように求められます。

  • 1BTC100万円→200万円に値上がりし、リップルを購入:100万円の利益
  • リップルが暴落し、200万円の価値が10万円に:190万円の損失
  • 利益と損失を相殺し、90万円の損失となり、税金は発生しない。

しかし、年をまたいでリップルの価値が暴落してしまった場合、2017年中に確定した利益に対して2018年の損失を相殺することができません。つまり、暴落により手元に資金がなくなってしまったにも関わらず、2017年に発生した100万の利益に対して税金を支払わなければなりません。

このように、仮想通貨同士を交換する場合は注意が必要です。

仮想通貨にかかる税金は損益通算できるのか

仮想通貨は税制上、雑所得に分類されます。雑所得は他の所得との損益通算ができないため、例え事業所得などで大きく損失を出したとしても、仮想通貨の利益と相殺することができません。

しかし、仮想通貨同士での損益を相殺することは可能です。例として、同じ年の5月と10月にそれぞれ500万の利益、300万の損失を出した場合は相殺して200万の利益となります。所得税額を求める計算に使用するのは200万円分の収入ということです。

【仮想通貨の税金】利益が20万円以下の場合

下記の条件に当てはまる場合、確定申告をしなければならないと定められています。

給与の収入金額が2,000万円を超える

給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える

給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える

同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・ 工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた

給与について、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた

在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税を源泉徴収されないこととなっている

 国税庁/確定申告が必要な方<https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2010/b/01/1_06.htm>より引用

「年間の仮想通貨利益が20万円以下で、なおかつ給与所得しか収入がない」場合は確定申告が不要であり、仮想通貨利益に対して課税されることはありません。しかし、 上記の条件に一つでも当てはまる場合は確定申告をする必要があります。

海外取引所を利用した場合の税金

仮に仮想通貨の取引を海外の取引所で行っている場合でも、日本国内に居住していれば、国内の取引所と同じように税金がかかります。取引所の所在地によって、確定申告の義務がなくなるわけではないため、海外取引所で利益を得た場合も、条件に当てはまれば課税の対象となります。

BinanceやBITFINEXなど、海外には日本よりも規模の大きい取引所が多数存在し、日本国内からも多くの人が利用していますが、海外取引所で得た利益も必ず申告しましょう。

 学生が利益を得た場合の税金

学生の場合は、その多くが扶養控除の対象となっています。 扶養控除は以下の2種類の控除で成り立っています。

  • 給与所得控除65万円
  • 基礎控除38万円

アルバイトなどの収入が二つの控除の合計額である103万円以下であれば、所得税はかかりません。 しかし仮想通貨投資など労働以外の方法で得た利益の場合、基礎控除額の38万円を超えた時点で扶養控除の対象外となってしまいます。

つまり、仮想通貨利益が38万円を超えた時点で課税対象となるため、注意が必要です。

仮想通貨にかかる税金は確定申告が必要

前述の通り、仮想通貨投資で確定申告が不要になるのは、「年間を通して利益が20万円以下でなおかつ、 給与所得以外に収入がない場合」に限られます。つまり、仮想通貨投資で利益が20万円以下であっても、その他に株や不動産など、 給与所得以外の収入がある場合は必ず確定申告をする必要があります。

 仮想通貨に有効な税金対策とは

このように、仮想通貨投資では、一定の条件を満たすと必ず税金が発生します。 税金の発生を抑えたい場合や、できるだけ節税対策をしたい場合、以下の対策が有効となります。

  • 利確せず、含み益のまま保有する
  • 個人事業主として開業し、青色申告特別控除や経費を活用する

仮に、税金を適切に申告しない場合は脱税とみなされ、 5年以下の懲役または500万円以下の罰金に加え、 延滞税加算税などが発生する可能性があります。

今後の法改正も確認しておく

今回は仮想通貨投資にかかる税金の基礎知識を解説しました。

近年、加熱する仮想通貨投資ですが、 税金に関する知識を身につけないまま大きな利益を得てしまうと、後々、予期せぬ高額課税徴収に慌ててしまう可能性があります。大きな利益を得られる投資は魅力的ですが、その前にまずは必要な税制知識を身につけておきましょう。

また、 仮想通貨に関わる各種法律はこれから整っていくことが予想されます。税金の支払いにも大きく影響してくるため、 仮想通貨関連の法改正を必ず確認するようにしてください。