仮想通貨

コインチェック買収の背景と買収を決めたマネックスの真の目的とは?

未曽有の仮想通貨流出事件の末路

580億円。この金額を聞いてピンとくる人も多いことでしょう。これは、仮想通貨史上、過去最大の仮想通貨流出事件の被害総額です。

この未曽有の大事件を起こした仮想通貨取引所のコインチェックは、営業許可を剥奪され営業停止にまで追い込まれました。

NEMを保有していた被害者は約26万人に上り、コインチェックは総額で約460億円を自己資本より被害に遭った投資家へ返金しました。

そして、201846日。コインチェックは日本大手のインターネット証券会社のマネックスグループの買収を受け入れ、傘下に入ることを公式発表したのです。

コインチェックはなぜ、買収を受け入れたのでしょうか。さらに、マネックスはなぜ、被害者からの訴訟のリスクを抱えたコインチェックを買収するに至ったのでしょうか。

そこで今回は、マネックスがコインチェックを買収した背景やその目的などについて、明らかにしていきます。

マネックスのコインチェック買収の背景

一時は、ヤフーや大和証券がコインチェックの再建に名乗りをあげていました。

しかし、NEM流出事件後の訴訟リスクが高いことなど総合的な判断から、これらの企業は再建の道を断念しました。

こうして、コインチェックは他社による再建の道が閉ざされてしまったのです。

では、マネックスはなぜ、そんな時限爆弾的なリスクを抱えたコインチェックの買収を決断したのでしょうか。

その背景には、マネックスの社長に返り咲いた松本大氏のある思惑が隠されていると一部で言及されています。

その思惑とは、仮想通貨史上への参入を果たし、金融庁と共に仮想通貨に関する法令の基礎づくりを主導していくことで、再びトップに躍り出ようとしているのです。

しかし、ゼロから仮想通貨市場に参入すれば、さらなる遅れをとります。そこで巡ってきたチャンスがコインチェックだったという訳です。

つまり、マネックスは既に実績も知名度もあるコインチェックを買収することで、新規事業にかかったであろう膨大なコストや時間の削減に成功したのです。

マネックスのコインチェック買収には金融庁の存在も

マネックスによるコインチェック買収の裏には、金融庁の存在があったとされています。

先進国の中でも、いち早く仮想通貨の普及の道を選んだ金融庁。

一部では、金融庁が仮想通貨市場を放置し続けたことにより、仮想通貨バブルを助長する結果となったと非難の声も上がっていました。

そして、今回のコインチェックが引き起こしたNEM流出事件によって、金融庁はようやく重い腰を上げる形で仮想通貨交換業者への行政処分へ乗り出したのです。

金融庁は、コインチェックの単独での営業再開には後ろ向きで、現行での経営体制では廃業せざるを得ないとし、マネックスにコインチェック買収の話を持ちかけたのです。

恐らく、金融庁はこの買収をもって、早々にコインチェック問題を収束させる道を選んだのでしょう。

つまり、コインチェックはマネックスの買収の話に乗る以外に、顧客の利益を守る術は残されていなかったのです。

マネックスの真の目的とは?

マネックスはコインチェックをグループの傘下に取り込むことで、仮想通貨市場への参入を現実のものとしました。

しかし、実はマネックスの真の目的はもっと先を見据えていました。

その目的とは、マネックスがブロックチェーンを活用した新たな世界を牽引していくリーダーとなることです。

実際に、週刊ダイヤモンドによるインタビューでは、次のように松本氏は答えています。

「やる以上は当社の金融取引がブロックチェーン上でできる、というだけでなく、日本や世界中の株式取引や債券、投資信託などの取引がブロックチェーン上で安全にできることに意味があります」

「そうした新しい世界を当社がリーダーとなって作るのは、夢というかビジョンではありますが、実際はそんな簡単なことではない。他の会社がそれを実現するかもしれないし、そこまで大きい話だと1社の問題でなく、世界的な証券会社のコンソーシアムみたいなものでブロックチェーンを作っていくことになるかもしれない」

引用:「DIAMOND onlinehttp://diamond.jp/articles/-/166514?page=3

このように、マネックスは国内だけでなく、世界を視野に入れたビジョンを持っているのです。

後発組のマネックスが仮想通貨市場を牽引していく存在となれるのか、疑問に思う人も多いことでしょう。

ただ、マネックスはいち早くネット証券への参入を行い、金融庁と話し合いの下でネット証券に関する法令の枠組みをつくってきた実績があり、その可能性を大いに秘めています。

仮想通貨市場が盛り上がりを見せるにつれ、今後ますますマネーロンダリングなど違法行為が横行していく恐れがある中、具体的な法令は定められていません。

それもそのはずで、多くの取引所は金融庁の動向に注意を払っていながらも、積極的な話し合いの場を持とうとはしていないからです。

具体的な法令が定められれば、自身の首を絞めることになるかもしれないと考えているのでしょう。

一方、マネックスは金融庁との積極的な話し合いの下で、有利な方向へと持っていくことを目指しています。

これが吉と出るか、凶と出るかはまだ分かりませんが、いずれにしても投資家の利益を守るための法令の整備を行って欲しいものです。

大手企業だけが参入できる時代へ

日本は仮想通貨史上始まって以来、未曽有の事件を目の当たりにしました。580億円という過去最大規模の仮想通貨流出事件を国内の取引所で引き起こしてしまったのです。

世界へ与えた影響は大きく、NEM財団が盗難されたNEMの取引を一時的に禁止したことにより、NEMの価格は大暴落しました。

金融庁としては今後、二度と同じような事件を起こさないためにも、さらなる取引所への締め付けを厳しくしていくことでしょう。

現に、仮想通貨市場からの撤退を余儀なくされた会社もあります。

今後、登録申請中のみなし業者だけでなく、既に登録済みの交換業者に対しても厳しい姿勢を強めていくことが予想されます。

そして、最終的には信頼性の高い大手企業だけが参入できる時代へと突入していくことでしょう。