仮想通貨

ERC20,223,721とは?イーサリアムで用いられる技術仕様の仕組み

トークンを取り巻くプラットフォームの現状

近年仮想通貨市場ではあらゆるICOトークンが市場に出回るようになり、その種類は仮想通貨全体で数千を超える程になりました。
これらの「トークン」は既存のブロックチェーンプラットフォームをベースにして創り出されたものであり、個人や企業はそのフレームワークに沿って簡単にトークンを発行する事ができます。

そして、現在それらのトークンの内のほとんどが「イーサリアム」をベースに作られています。


引用:coinmarketcap

上記の図を見ると、トークンの上位銘柄のほとんどがイーサリアムをプラットフォームに用いていることがわかります。
トークンを発行する為のプラットフォームは他にも「NEO」「OMNI」「WAVES」などがありますが、その中でも90%以上のトークンで用いられているのがイーサリアムなのです。

では、そんなイーサリアムによるトークンの作成で用いられる技術仕様「ERC」についてを解説していきます。

イーサリアムで用いられる「ERC」とは?

上述したように、現在までに作成されたトークンの大半がイーサリアムをベースに発行されていますが、そこで用いられているのが「ERC」です。
ERCとは「Ethereum Request for Comments」の略であり、イーサリアムを使ってトークンを作成する際の技術仕様書の事です。
これによって各トークンの設計が標準化され、開発者は同じ技術仕様を使ってトークンを開発する事が出来るのです。

なお、そのERCと呼ばれる仕様設計書にも様々な種類がありますが、今回は「ERC20」「ERC223」「ERC721」を順に解説していきます。

ERC20とは?

まず上述したERCで多く用いられているのが「ERC20」と呼ばれる技術仕様であり、ERC20の「20」は「Token Standard #20」と呼ばれる仕様設計の項目を表します。
このERC20の規格は「EOS」「TRON」「VeChain」「OmiseGo」といった時価総額トップクラスのトークンで採用されており、現状ERCの代表的な規格であると言えます。

では、開発者が新たにトークンを作成する場合にこのERC20の規格を採用するメリットを見ていきましょう。

標準化された共通ルールの下でトークンを発行できる

ERC20は新規トークンを発行したい開発者に共通の仕様設計やルールを提供するのですが、これによって開発者は与えられた枠組みを使ってトークンを作成する事ができ、独自で1からトークンの技術的な仕様設計を考えなくて済みます。

なお、このERC20を用いることで、取引所へ新規上場する際にもメリットがあります。
現在多くのトークンがERC20ベースで作られているので、その標準化された設計から取引所側の上場審査にも比較的通りやすくなると考えられます。
よって独自で設計されたトークンよりも比較的安全性が高いと言えるのです。

投資家は単一のウォレットでトークンを管理できる

なお、ERC20を採用するメリットは投資家側にもあります。
ERC20ベースのトークンは今やたくさんありますが、それらは仕様設計が同じなので、全て単一のウォレットにて保管する事が出来ます。
その他の仮想通貨やトークンは、その独自の仕様によって対応するウォレットと非対応のウォレットとに分かれています。

しかし、各トークンがそれぞれ仕様が異なっていると、対応ウォレットが各トークン毎にバラバラになってしまうので投資家としても管理がし難くなります。
そのような多くのトークンをERC20ベースで統一する事で、投資家はウォレットを一元化して管理をしやすくする事ができるのです。

なお、ERC20を保管できる代表的なウォレットは「MyEtherWallet」や「MetaMask」です。

ERC20の大きな問題点

以上のように圧倒的に広く普及しているERC20ですが、一方で問題点が存在しています。
それがERC20トークンをコントラクトアドレスに誤った送金をしてしまった場合二度と取り出す事ができなくなってしまう点です。

コントラクトアドレスとは、通貨を送金したり受け取りしたりするアドレスではなく、契約内容などの情報を書いて記録する為に用いられるアドレスの事です。
このアドレスに非対応のERC20トークンを送金してしまった場合はそのトークンが消滅し「セルフGOX」てしまうのです。
そして、このような問題を解決するのが、以下より説明する「ERC223」です。

ERC20の問題を解決する「ERC223」とは?

ERC223とは、223番目のERC提案でありERC20の問題点を解決する為の新しい規格です。
このERC223は上述したERC20と後方互換性を持っており、新しい仕様設計ではありますが、旧仕様であるERC20で対応されていたウォレットなどにも不備なく利用する事ができます。

さて、上述したERC20トークンの誤送金は下記キャプチャを見ると、昨年2017年の12月時点で3億円を超える額となっています。


引用:GitHub

この誤送金による損失がERC20の致命的欠陥となっており今後の発展への課題となっているのですが、ERC223ではそれを「Token Fallback」といった機能を使って解決します。

Token Fallbackとは、上述したコントラクトアドレスへの誤送金問題をERC223上で解決する機能であり、この機能によってコントラクトアドレス宛にトークンが送金された際に、その送金が正しくなければ送金内容を送り主へ返還する事を可能とします。
これによってユーザーはトークンを誤送金で失うリスクを負わずに済むのです。

なお、この規格は日本発のスポーツ選手とそのファンをターゲットにした仮想通貨「NANJICOIN」で用いられています。

代替え不可能なトークンを作る「ERC721」とは?

ERC721とは、2017年9月に提案された、ERC20と互換性を持つ新たな規格です。
ERC721はそれまでのERC20,223とは異なった性質を持っており、この規格では「Non-Fungible Tokne(代替不可能なトークン)」を作成する事ができます。

Non-Fungible Tokenとは?

既存のERC20のトークンは、他の価値と交換可能な「代替通貨」として利用されていました。
しかし、ERC721によって代替不可能に設計されたのが「Non-Fungible Tokne(代替不可能トークン)」です。
これらの関係性を具体的に説明すると、現在世に出回っている「紙幣」は共通の価値を発揮しており、どこのお店に行っても使えるので「誰が見ても同じ価値」であり「代替が可能」な資産と言えます。

ですが、土地や建物などといった不動産の価値は世界で共通ではなく、地域や築年数等によって1つ1つ異なっているので誰が見ても同じ価値とは言えず、「代替が不可能」な資産です。
不動産以外にもアートやゲーム内のキャラクターのように、他と変える事ができない特定の価値を持ったものはプレミアムが付いているのです。

さて、そんな性質を持ったこのERC721は、Dappsゲーム内でペットが高額落札された事で話題となった「Crypto Kitties(クリプトキティーズ)」で用いられています。
クリプトキティーズでは、ゲーム内で登場する子猫のレベルや外見、特徴などもそれぞれ異なっているので、その子猫を代替不可能なトークンとして当てはめているのです。

ERCトークンの今後

以上がERCについてでしたが、ERC20では誤送金があってもそれすら気付かないような事態となっていました。日常的にトークンが使用されることを考えると、誤ってアドレスを入力してしまって大切なお金がブラックホールの中に吸い込まれてしまうようでは、中々安心して利用ができません。

そこでERC223が解決策を出しましたが、ERC223仕様の通貨が今後どこまで広がるかに期待が寄せられます。

また、ERC721の「代替不可能トークン」の機能はゲーム以外にもあらゆる資産に応用する事ができるでしょう。将来的には、あらゆるステータスを持つ「資産」がトークン化されるようになるのではないかと筆者は考えています。
今後トークンエコノミーを築いて行く為には、このERCの機能がかなり重要となってくるのではないでしょうか。