仮想通貨

仮想通貨がマネーロンダリングに利用される?その手法とG20の見解

仮想通貨におけるマネーロンダリングの闇

マネーロンダリング(資金洗浄:通称マネロン)という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。

とは言え、その意味を正しく理解できているか分からない人も少なくないのではないでしょうか。

外務省では、マネーロンダリングを以下のように定義しています。

『資金洗浄(マネーロンダリング)とは,違法な起源を偽装する目的で犯罪収益を処理することを意味します。』

引用:外務省「国際組織犯罪に対する国際社会と日本の取組」http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/m_laundering/index.html

つまり、犯罪によって得た、云わば「汚れたお金」を「きれいなお金」に変えるという意味から、マネーロンダリング(資金洗浄)と呼ばれているのです。

近年では匿名化された仮想通貨や本人確認を必要としない取引所の存在によって、マネーロンダリングの手法が法定通貨から仮想通貨へと変わりつつあります。

そこで、仮想通貨とマネーロンダリングの関わりやその手法、国際社会の見解などについて紐解いていきます。

仮想通貨におけるマネーロンダリングの手法とは?

仮想通貨業界でもマネーロンダリングは確かに行われています。

現に、コインチェックのNEM流出事件ではハッキングによって約580億円相当のNEMがマネーロンダリングによって追跡を逃れています。

NEM財団は一時、盗難されたNEMの売買取引を禁止することを発表し、犯人の追跡にも乗り出しました。

しかし、NEMの取引が減少することで価格が暴落したため、NEM財団はNEMの価値がこれ以上低くなることを恐れ、犯人の追跡も、NEMの取引禁止も撤回しました。

その後、NEMは徐々に正常な価格を取り戻していったのです。

コインチェック事件からも分かる通り、マネーロンダリングは近い将来の話ではなく、既に現実化しています。

では、どのような手法でマネーロンダリングが行われているのか、確認しておきましょう

法定通貨によるマネーロンダリングの一般的な手法

日本円や米ドルなどの法定通貨の場合、通貨自体に使用履歴などが残らないことから、手渡しの直接取引や海外の複数の銀行口座から資金を移動させる手法が一般的です。

オンラインでの送金が容易になった現在では、誰でも国内外に自由に送金可能です。マフィアや暴力団などの犯罪組織で行われることが多いです。

2018514日、毎日新聞では次のような記事が配信されています。

『一部の指定暴力団が仮想通貨の取引を利用し、犯罪収益のマネーロンダリング(資金洗浄)を進めている疑いがある。海外にある複数の交換所を介し、所有者が特定されない仮想通貨に換金する手法で、2016年から計約300億円を洗浄したと、仲介役の中国人男性が証言した。仮想通貨に対する海外の規制の緩さが、マネロンを可能にしている。』

引用:毎日新聞(https://mainichi.jp/articles/20180514/k00/00m/020/127000c

マネーロンダリングには、次のような手法も存在します。

・現金密輸(国外などへ現金を密輸して金融機関に預ける)

・偽造取引(請求書の金額を水増しして紛れ込ませる)

・企業買収取引(ペーパーカンパニーの売買資金に使用する)

・ギャンブルの報奨金(カジノなど選択肢の全てに賭けて報奨金として受け取る)

・不動産の購入資金(不動産を購入して売却し、その売却益を受け取る)

このように、マネーロンダリングは、手口を変えては法の目をかいくぐって行われているのです。

仮想通貨でもマネーロンダリングは可能なのか?

ただ、コインチェック事件を受けて、世界では仮想通貨の取引を全面禁止にするといった厳しい規制を強いる国も増えてきました。

その中で、仮想通貨は今後もマネーロンダリングに活用されるのでしょうか。では、ビットコインの場合で考えてみましょう。

ビットコインと言えば、ブロックチェーン上に取引の履歴などが公開されており、ネットワークを利用している誰もがその履歴を閲覧することが可能です。

しかし、実際にはAというアドレスからBのアドレスへ送金が行われた事実は確認できますが、ABのアドレスの所有者までは特定できない仕組みになっています。

つまり、ビットコインはマネーロンダリングに利用される可能性が非常に高いということです。

ビットコイン以外にも匿名性の高い仮想通貨が多く発行されており、送金元や送金先のアドレスすら追跡できないようになっている通貨もあります。

また、本人確認を必要としない取引所が複数存在しており、国家の追跡をも逃れられるセキュリティの高さから、マネーロンダリングに利用されることが懸念されています。

ウォレットを活用したマネーロンダリング対策

仮想通貨はマネーロンダリングに利用される他ないのでしょうか。実は、ウォレットによってマネーロンダリングを対策できる方法があります。

一般的に、ウォレットの利用には身元確認が必要なケースが多く、仮に名前などの個人情報の入力が必要なくても、ウォレットのIDコードがユーザーを特定する鍵となります。

つまり、こうしたウォレットを義務付ければ、仮にマネーロンダリングを行っても、ユーザーにしかアクセスできないIDコードにより、身元の判別ができるという訳です。

ウォレットは名前などの個人情報を必要としないため、匿名性があるように見えるシステムですが、活用の仕方によってはこのような対策を講じることも可能なのです。

ただ、そのためには世界各国で「マネーロンダリングの対策強化」という課題を共有し、足並みを揃えることが必要です。

マネーロンダリングに対するG20の見解

20183月、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20(日本や米国を含む主要20ヶ国・地域)財務省・中央銀行総裁会議が行われました。

仮想通貨によるマネーロンダリングの利用への懸念が強まる中、G20の会議内でマネーロンダリング対策を強化することで一致しました。

しかし、閉幕後に発表された共同声明は、あくまでも各国の努力義務にしか過ぎず、強制力のあるものではありません。

つまり、一部の国が対策を講じなければ、マネーロンダリングの抜け道になる恐れがあるのです。

国際社会の仮想通貨への締め付けは強まっていく

コインチェック事件は被害総額だけを見れば、仮想通貨史上始まって以来の過去最悪の事件と言えるでしょう。

しかし、その裏には組織犯罪を伺わせる情報も錯綜しており、アメリカのFBIでは、ある犯罪組織の名が上がっていることがNHKの取材によって明らかにされています。

参考URLNHK 仮想通貨ウォーズ~盗まれた580億円を追え!~

https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180512

これ程までに世界で騒がれる事件が起きたのですから、国際社会は仮想通貨が健全な投資として利用されるよう、何らかの対策を講じるはずです。

もしくは、中国やインドのように仮想通貨の取引自体を全面的に禁止するという国も増えることでしょう。

いずれにしても、仮想通貨は世界や社会をより良く変えることができる可能性を大いに秘めており、今後も正しく利用されることを願ってやみません。