仮想通貨

イーサリアムのERC20とは?その発行トークンやウォレットについて解説

イーサリアムで独自トークンを発行できる「ERC20」

仮想通貨の種類は現在1,000を軽く超えており、代表的なビットコインやイーサリアムなどからどんどんと派生して新たな通貨が発行されるようになりました。そして企業や個人が誰でも「独自トークン」を作れるようにもなっています。
そのような仮想通貨トークンはどのようにして作られているのでしょうか?

企業や個人が発行する独自トークンはどれも既存のブロックチェーンをベースに作成されており、大半が簡素化されたフレームワークに沿って創出されています。

そして、イーサリアムのブロックチェーンを用いて独自トークンを発行する際に用いられているのが「ERC20」であり、それは現在市場に出回るトークンの内のおよそ90%以上で採用されています。

なお、他にもトークンの作成に関しては「CounterParty」「WAVES」「Monaparty」といったトークンを作成する為のプラットフォームが存在しています。

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今回は、その中でも多くのシェアを占めているERC20について解説していきます。

ERC20とは?

ERC20とは「Ethereum Request for Comments」と呼ばれる、イーサリアムブロックチェーンにてトークンを作成する際の技術仕様であり、ERC20の「20」の部分は「Token Standard #20」といった技術仕様の項目を意味しています。

この設計書を用いる事で、新たに独自トークンを作成したい開発者は標準化された技術仕様を利用して簡単にイーサリアムベースのトークンを作成する事ができます。

ERC20のメリット

では、ERC20の技術仕様を用いるメリットを見ていきます。

開発者は共通の技術でトークンの発行が可能

ERC20は、上述した通り共通の技術仕様を用いるので、開発者はそれに従ってトークンを作成できます。これによって開発者自らが複雑な技術設計を1から考える必要が無くなり、ERC20のフレームワークに沿って比較的簡単にトークンを作成できるのです。

取引所への上場がしやすい

また、ERC20トークンは現在上場しているトークンの大半を占めている事から、独自の仕様で作成したトークンとは比較的信頼性が高いでしょう。
ERC20は仕様が標準化されているので、開発者が独自で考案した設計よりも比較的セキュアで信頼性が高いと言えるのです。

よって、ERC20を採用する事で取引所への新規上場が比較的しやすくなります。

投資家は単一のウォレットでトークンを管理できる

一方、投資家にとってもERC20に準拠したトークンを購入する事で単一のウォレットにそれらを一元管理できるメリットがあります。

ERC20トークンは上述した通り共通の技術仕様を用いるので、ERC20トークン同士に互換性があり単一のウォレットでそれらを保管することができます。
仕様が異なる仮想通貨やトークンの場合、単一のウォレットに全てを保管できるわけではなく、仕様設計毎に扱えるウォレットがバラバラとなってしまいます。

そのようなトークンをERC20ベースで統一することによって、投資家側は一つのウォレットで一元管理できるのです。

ERC20のデメリット

ERC20にはデメリットもあり、ERC20トークンをコントラクトアドレスに間違って送金してしまった場合、それを二度と取り出す事が出来なくなってしまうといった問題があります。

コントラクトアドレスとは、トークンを送金したり受け取ったりする為に用いられるアドレスではなく、取引の契約内容等の情報を記録する際に用いられるアドレスです。
このコントラクトアドレスに非対応のERC20トークンを送金してしまった場合はそのERC20トークンは消えて無くなってしまいます。

実際に2017年12月時点で3億円を超える誤送金が出ており、「Quantum」や「EOS」では損失額が100万ドルを超えています。

引用:GitHub

これがERC20の大きな問題となっており、このように送金先を間違えるとお金がブラックホールの中に消えてなくなるような事では、ユーザーが安心して利用する事ができないのです。

そして、この問題を解決する為の次なるイーサリアムの規格が「ERC223」であり、「Token Fallback」と呼ばれる機能を用いて誤送金のリスクを防ぎます。

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ERC20トークンを管理出来るウォレット

ERC20を保管出来る代表的なウォレットは、主に「MyEtherWallet」と「MetaMask」ですが、以下それぞれのウォレットの特徴を解説していきます。

My EtherWallet

引用:MyEtherWallet

MyEtherWalletとは、イーサリアムやERC20トークンを保管できる代表的なデスクトップ型のウォレットであり、トークンを送金したり受け取りしたりする事ができます。

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このウォレットを使うことによってERC20トークンを一元管理できる利便性があり、コールドウォレットや下で説明する「MetaMask」との連携も可能です。

DNSハッキングによるETHの盗難被害

ですが、2018年4月24日にこのMyEtherWalletのDNSサーバがハッキングされ、同サイトへアクセスしようとしたユーザーがフィッシングサイトへと誘導されてしまう事件がありました。

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そのフィッシングサイトではログイン後にウォレット内にあるETHが勝手に犯人のアドレスへ送金されてしまうという被害が起こり、その額はおよそ1,600億円でした。

今回の問題はMyEtherWallet自体に問題があったのではなく、DNSサーバの脆弱性に問題がありました。今後このような被害を防ぐ為に「サイトがSSL認証がされているか」を確認し「URLが正しいかどうか」もシビアにチェックする必要があるでしょう。

MetaMask

引用:MetaMask

MetaMask(メタマスク)とは、ブラウザ上で仮想通貨を保管できるWEBウォレットです。
メタマスクはイーサリアムをはじめ、ERC20トークンを保管することができ、MyEtherWalletと違ってブラウザ上で管理できるのが特徴的な点です。

Dappsのゲームや他の取引所などをデスクトップから使う際にはメタマスクで迅速に連携することができるという利点があり、ERC20トークンホルダーには欠かせないウォレットです。
こちらの具体的な使い方については以下の記事にて記載してあります。

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また、イーサリアム以外のブロックチェーンを使用している仮想通貨やトークンはこれらのウォレットでは現状保管できないので注意しておきましょう。

ERC20に準拠した代表的なトークン

このようなイーサリアムベースのERC20トークンは、既存のトークン全体の90%以上を占めるようになっており、以下の図を見ると「EOS」「TRON」などがERC20トークンの中でも上位となっています。

引用:coinmarketcap

EOS

EOSとは、当時ICOでおよそ200億円を調達し注目を集めたERC20トークンであり、企業の業務サポートを目的とするプラットフォームです。

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EOSは1秒間に数百万件のトランザクションを可能にし、取引を何度行っても手数料を掛からないようにする設計がされています。

当時のEOSのICOにおけるホワイトペーパーには「EOSトークンは何の価値もない」と記されていたことで話題となりましたが、空前のICOバブル真っ只中でホワイトペーパーも見ずに投資する人が大半だったとされており、バブルに乗って成功したICOトークンであると言えるでしょう。

なお、EOSの時価総額は2018年5月現在5位の1兆円となっており、ERC20トークン全体で比較しても圧倒的な規模となっています。

TRON(TRX)

トロン(TRX)とは、世界中のゲームクリエイターの為の分散型プラットフォームです。
このプラットフォームは既存のGoogleやAppleのような中央集権型のプラットフォームとは違い、運営者を不在にしてクリエイターはユーザーからダイレクトに報酬を得ることができるエンタメ経済圏を構築します。

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現在TRONは時価総額9位でその額およそ5,200億円となっており、ERC20トークンの中では上述したEOSに次ぐ規模となっています。

なお、その他の時価総額上位のERC20トークンは以下の通りです。

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ERC20トークンにバグ?Batch Over Flowとは

2018年4月26日にERC20トークンの一部で「Batch Over Flow(バッチオーバーフロー)」と呼ばれるバグが起きてしまいました。
これによって、スマートコントラクトを搭載したトークンに好きなだけ無限にトークンを発行できてしまうという致命的なバグが出てしまい、一部の取引所はERC20トークンを一時停止しました。

このBatch Over Flowは厳密に言うとERC20の全てのトークンに問題があったのでははなく、ERC20トークンの中で「Batch Transfer」と呼ばれる機能を含んだ一部のコントラクトにて脆弱性が見つかったという問題でした。

ERC20の課題と今後

以上がERC20についてでしたが、現状ERC20は大半のICOトークンの市場を独占しており、そのシェア率は90%を超えています。

もう他と勝負がついていると言えるでしょうが、より日常的にトークンが普及する為にはトランザクションの遅延問題と、上述したERC20の誤送金問題を解決する必要があります。

少しでも不便さを感じさせるものがあれば一般ユーザーは直ぐに逃げてしまいますので、今後も引き続き大きな課題と向き合って行かなければならないでしょう。