フィンテック

FinTech(フィンテック)とは?銀行やIT企業の取り組みを徹底解説

FinTech(フィンテック)によって変化する金融サービス


昨今、テクノロジーの進化と発展と共に時代の移り変わりは著しく速くなっており、その中でも変革期に突入しているのが「金融業界」です。
金融業界界隈のビジネスは参入障壁が高く、複雑に組み込まれた法規制によってビジネスを独占しており、それによって市場を独占して既得権益を維持してきました。

しかし、その従来のモデルはテクノロジーの進展と共にどんどんと破壊されいき、今や金融業界の競争は激化しつつあるのです。
そして、このような金融業界にテクノロジーを利用してイノベーションを起こすのが「FinTech(フィンテック)」であり、どんどんと金融がIT化されているのです。

そこで、本記事ではFinTechについてやテクノロジーを使った新しい取り組みをする金融機関やIT企業、そして今後のFinTech業界の洞察等を詳しく解説していきます。

FinTech(フィンテック)とは何か?


まずFinTech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を融合した造語であり、「ファイナンステクノロジー」の略です。

このフィンテックによって金融はIT化していき、よりユーザーの日常生活と金融サービスとの距離を縮め、金融との繋がりを強めるものとなっています。

フィンテックへの投資額

そもそもフィンテックという言葉は2014〜2016年頃から盛んに世間で使われるようになりましたが、下記図を見ると、ちょうど2015年から2016年にかけてフィンテック関連企業に対するグローバルな投資活動はピークに来ています。


引用:KPMG

このように、ベンチャーキャピタル(VC)によるリスクマネーの投下額は着実に増えており、VCのフィンテックに関する興味関心はより高くなっていると言えるでしょう。

では、VCはこのフィンテックのどのような部分に関心を持っているのでしょうか。

ただのインターネットベースの金融サービスだけであれば、ネットバンキングやネット証券など、単純に「ネット化」しただけのサービスは既に存在しているはずです。

しかし、ただの「金融のインターネット化」だけにVCが興味を持つはずもありません。

フィンテックはただの金融のインターネット化に留まらず、API、AI、更にはブロックチェーン技術、仮想通貨を駆使した前例の無い革新的サービスを生み出すものとなるはずです。

では、それが今後どのように金融改革を起こすのか順に見ていきましょう。

金融とITの親和性は高い

そもそも金融業界はITと極めて親和性が高く、昔から金融は「情報産業」であったと言えます。
では、その遥か昔の歴史を辿って見ましょう。

電信もまだ発明されていなかった時代、1815年のワーテルロー戦争で一早く情報を入手してイギリス国債のトレーディングをしていたネイサン・ロスチャイルドは巨万の富を得ました。これは「ネイサンの逆売り」と呼ばれています。
これはネイサン・ロスチャイルドが金融業者として早馬、伝書鳩、高速船による情報伝達網を駆使して「情報」を早く調達した結果でした。

そしてその後、金融とITを一早く融合させて情報提供サービスを手掛けたのはアメリカの「ブルームバーグ」です。
ブルームバーグは投資銀行のトレーダーにマーケット情報を提供するツールですが、以前トレーダー達はマーケットの情報を人力で計算して利回り計算をしていました。

しかし、このブルームバーグによって情報を迅速かつ効率的に投資家へ届けられるようになり、益々金融は「最適化」されていったのです。
このように、テクノロジーは昔から金融と親和性が高く、金融をアップデートして業界に大きな影響を与える為のツールなのです。

「フィンテック1.0」となったインターネット証券


さて、おそらく最初に日本の金融業界で早期にフィンテックを取り入れたのが「インターネット証券」ではないでしょうか。
このネット証券誕生の背景として、かつては株式の売買に掛かる手数料は証券取引所が一律で固定手数料を定めていました。
これによって割引は一切効かず、どこの証券会社を利用しても同じ利用料を支払わなければならなかったのです。

しかし、1999年より株式の委託手数料が完全に自由化され、証券会社は自由な競争が出来るようになりました。これが「金融ビッグバン」と呼ばれる金融改革です。

この金融ビッグバンは3つの改革案を基に掲げられ、それが「Free(自由)」「Fair(信頼できる市場)」「Global(国際的)」です。
まさに、この金融ビッグバンからフィンテックの序章が始まったと言っても過言ではないでしょう。

さて、そんな完全なる自由競争を求められた証券会社は、ありとあらゆる手を使って手数料を下げようと努力しました。
そこで使用されたのがインターネットであり、テクノロジーを見方につけ、インターネット経由で株式を売買するというモデルが確立されたのです。

そこで最初に日本でネット証券を立ち上げたのが松井証券であり、その後にマネックス、そして現在のSBI証券といった具合に次々とインターネット専業の証券会社が作られました。
これが最初の「フィンテック1.0」であり、ネットによる「価格破壊」が起こった瞬間なのです。

FinTech(フィンテック)による銀行のIT化と現状


日本の銀行もこのフィンテックの波に乗ろうとどんどんとインターネット化へとシフトしており、それに伴いどんどんと既存の金融サービスが「顧客中心」のサービスへと変化しています。

例えば、大手メガバンクであるみずほ銀行はMIZUHO FinTechを掲げて特設サイトを作り、pepperを活用した店舗サービス、WatsonによるAIオペレーティングなど、金融サービスにテクノロジーを取り入れるその動きは加速度を増しています。


引用:MIZUHO FinTech

 

ネットバンキングの価格破壊力

更にインターネット銀行である「住信SBIネット銀行」や「新生銀行」は振込手数料が格段に抑えられており、コンビニATMからの引き出しも手数料はほとんど掛かりません。

筆者は現在インターネットバンキングを利用していますが、従来のモデルであればお金を引き出したり預けたりする場合は銀行の支店へ行く必要があり、コンビニのATMだと高い手数料が取られていました。

しかし、ネットバンキングが普及した事によって支店へ行く必要が無くなり、ほとんど手数料も払う事が無くなりました。

このように上述したネット証券と同様、インターネットによる価格破壊力は、私達の利用している金融サービスの手数料を更に安くしてくれるのです。

それでもまだ銀行の視点は賑わっている

ビル・ゲイツは1994年の時点で「将来銀行は必要なくなる」と読んでいたのですが、現在になってまた刻々と銀行の在り方が問われるようになってきています。

上述した通り、現在はネット銀行によるネットバンキングが普及しており、筆者もほとんどの銀行サービスをインターネットを介して利用しています。
ネット銀行を使う事でコンビニのATMでも振込手数料が安く、スマホ一つで自分の預金管理を全て行う事が出来ます。

なお、最近では銀行の口座カードにデビットカードが付帯したものもあり、これによって現金を降ろさなくてもカード一つで支払いを全て済ますことが出来るようにもなったのです。

しかし、そのようなサービスがあるにも関わらず、お昼になると金融機関の窓口やATMがかなり混み合っていたりします。

下記図の通り、日本の個人消費においては半分以上が現金決済となっているのが現状です。


引用:ニッセイ基礎研究所

あらゆる専門家に「銀行はなくなる」と言われていますが、未だに日本は現金社会、現金主義の考えを持つ人が多く、まだまだ「キャッシュレス化」「ネットバンキング化」が浸透している訳では無いと言えます。

よって、まず銀行は「キャッシュレス化」「金融サービスのネット化」を消費者へと早く浸透させなければならないのではないでしょうか。

銀行を取り巻く環境の変化

そのような中でフィンテックによる銀行のIT化を考える前に、今日の日本のマーケットと銀行の収益について簡単に考えましょう。

まず、全国各地に存在する地方銀行の収益はこれまでかなり厳しくなってきました。
2013年以降、かつてない規模である異次元金融緩和が導入され、金利は一段と低下したのです。


引用:大和総研

上記の図のように、銀行が預金で調達した資金を貸出したり運用したりする「資金利益」はわずかながらも毎年低下しており、コア業務純益は随分低い水準となっています。

そして、2016年1月にマイナス金利が導入され、10年物国債の金利はマイナスとなりました。
当然金利がマイナスとなれば銀行にとっての貸出し金利は下がるので、儲けの幅が下がります。

更に、このような厳しい状況は日本国内の少子高齢化による人口減少と重なってしまっています。

まとめると、金利の低下と国内人口の減少によって銀行はお金を稼ぎ難くなっているのです。

その為、大手都市銀行でも人件費の削減の為に人員の解雇が増えていますが、このような人口減少や金利の低下の問題から、効率的にオペレーションを回して行く為に銀行のIT化が求められているのです。

FinTech(フィンテック)分野に参入する非金融のIT企業


さて、フィンテック分野は既存の金融機関のみならず、非金融分野であるIT企業も持ち前のテクノロジーを駆使してどんどん金融分野へと乗り出しています。

以下、その例を見ていきましょう。

LINEと野村證券によって設立される「LINE証券」


メッセージアプリで多くの日本人が利用する「LINE」は、大手対面証券である野村證券と共同で「LINE証券」を設立し、2018年の秋頃のサービス提供を目指しています。

LINE証券はLINEアプリ上で株式売買をしたり、チャット上でAIと相談をするチャットボットサービスを検討しており、ユーザーの日常と株式投資とを更に近づけようとしています。

LINEは既に国内に7千万人以上のユーザー基盤を持っており「従来はハードルが高い」「投資の仕方がよく分からない」と思っていた潜在的ユーザーによりアプローチしやすくなるでしょう。

今までの金融は一般的なユーザーにとって支店に出向いたり、証券会社から口座を作ったりする必要があった為、そのユーザーとの距離は遠く何だかハードルが高いイメージがありました。
しかし、LINEのような一般にも浸透したプラットフォーマーが金融サービスを提供して行く事で、今までは投資をして来なかった潜在ユーザーと金融サービスとの距離を縮める事が期待できるのです。

なお、LINEは金融子会社として「LINEフィナンシャル」を設立しており、今後金融分野に本格参入する予定となっています。

スマホ決済を当たり前にした中国の「We Chat Pay」


では、キャッシュレス化が日本よりも進んでいる中国のサービスを見てみましょう。

中国で最も利用度が高いコミュニケーションアプリ「WeChat」内で提供されている「WeChat Pay」は、同アプリに紐つけされた銀行口座やクレジットカードを利用してQRコードを使ってお店で支払いをする事ができます。
このWeChat Payはユーザーが8億人存在しており、このQRコード決済は中国ではもはや当たり前となっています。

中国では露店でもQRコード決済に対応するのが当たり前となっており、日本はキャッシュレス社会の普及において中国に大きく差をつけられていると言えるでしょう。

金融サービス事業に本格参入を検討する「amazon」


米アマゾンは、預金システムに似た金融サービスを開発する為に米大手銀行と協議しています。
これが実現するとなると、アマゾンのコア事業であるEコマース分野との大きなシナジーが見込めるようになるでしょう。

アマゾンは大型のネット通販マーケットプレイスとしてグローバルに普及しており、既に銀行口座を持てない人向けのサービス「Amazon Cash」も提供しています。

そして今回「アマゾン銀行」のようなものが作られるとすれば、amazonでの決済時に自社の銀行口座から引き落とせるようにしたり、アマゾンが銀行口座保有者へ向けて預金利息のようなキャッシュバックを付与すれば、他の銀行と比べてその優位性は高くなるでしょう。

なお、日々の買い物を同マーケットプレイスのみで完結しているという人も最近では珍しくはありません。

更にアマゾンは同サイトに出店する販売業者向け融資サービス「アマゾン・レンディング」を2011年からスタートしており、これまでに貸し付けを行った事業者は2万社を超えています。

アマゾンが今後金融事業にも本格的に参入するとなれば、もはや金融なのかITなのかも分からなくなってしまうでしょう。

FinTech(フィンテック)で変わる投資「ウェルスナビ(WealthNavi)」


引用:ウェルスナビ公式サイト

冒頭でブルームバーグは投資家の投資分析をテクノロジーによって効率化させたと説明しましたが、分析だけではなく「投資」そのものをAIで効率化したのが今話題の「ロボアドバイザー」です。

そんなロボアドバイザーサービスの一つであるウェルスナビ(WealthNavi)は、自分の資金を入金するだけでAIアドバイザーが最適なポートフォリオを構築し、一切投資の手間をかけずに済むサービスです。

同サービスは新しい資産運用の形として、従来富裕層のみが手にしていた高度な金融アルゴリズムを民主化し、平等にそれらを提供するというコンセプトであり、ユーザーはリスク許容度を測る診断と投資金額を決めるだけで気軽に参入する事ができます。

このように、テクノロジーは情報の非対称性をなくして全員にフェアな投資機会を与えられるようになったのです。

なお、このウェルスナビの手数料は預かり資産の1%となっており、SBI証券や楽天証券といったネット証券よりやや割高となっていますが、それはアルゴリズムを用いて投資をAIに全て任す事が出来るというプレミアムがついている為でしょう。

FinTech(フィンテック)は今後ブロックチェーンで革命を起こすか


以上が金融とITを融合したフィンテックについてやそれに関連した企業、サービスの説明でしたが、そうこうしている間に次のフィンテックの波が訪れています。

それが「仮想通貨・ブロックチェーン」を駆使した「金融のブロックチェーン化」であり、これを「フィンテック2.0」と呼ぶとします。

フィンテック2.0のフェーズである仮想通貨・ブロックチェーン分野は、大手金融機関やそれ以外のIT企業までどんどんと実証実験をしたり、新しく事業セグメントを創り出したりするようになりました。

中でも銀行は、キャッシュレス社会の発展を目指す為に、ブロックチェーンを活用した「独自通貨の発行」も進めています。

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なお、他にも次なる「金融」を創るかもしれない、仮想通貨・ブロックチェーンを手掛ける新たなフィンテック企業を紹介します。

仮想通貨取引所を開設する「マネーフォワード」


引用:マネーフォワード公式サイト

個人向けの家計管理ツールを提供するマネーフォワードは、子会社に「マネーフォワードフィナンシャル」を設立し、2018年内に仮想通貨交換所を開設すると発表しました。

同社は取引所以外に、送金、決済のプラットフォームも構築する予定とされており、これらは家計簿アプリや確定申告アプリである「MFクラウド」などとのシナジーが見込めるでしょう。

下記図の通りマネーフォワードでは、仮想通貨を知る・買う・使うのプロセスを同サービスで利用できるようにし、その後の管理、申告プロセスも同様にひとまとめに利用できるようなエコシステムを構築します。


引用:マネーフォワード公式サイト

 

仮想通貨の大手となった「bitFlyer」


国内大手の仮想通貨取引所bitFlyer(ビットフライヤー)は独立系の仮想通貨取引所として年内に新規上場を目指すと話題になっています。

ビットフライヤーは東証にいつ上場予定?IPOや上場銘柄についてを予想国内最大手取引所となったビットフライヤー(bitFlyer)仮想通貨取引所である「ビットフライヤー(bitFlyer)」は201...

同社は仮想通貨交換業のみならず、ビットコインを利用した決済サービス事業から、独自のブロックチェーンである「miyabi」を使用した瞬時の国際送金、契約の自動執行といったサービスの提供を実現させます。

なお、同じ仮想通貨取引所では、国内のコインチェックが前期営業利益500億円を超え、金融大手のSBIホールディングスの子会社「SBIバーチャルカレンシーズ」が仮想通貨取引所をもうすぐリリースします。

この金融の変革期において、ビットフライヤーは仮想通貨業界を引っ張って行く重要な企業と言えるでしょう。

FinTech(フィンテック)は金融のグローバル化をもたらす


以上、フィンテックについて述べてきましたが、ここまで来るともはや金融サービスの提供に「業種」や「国」の壁が無くなったようにも思います。

そう、フィンテックによって金融はグローバル化をもたらすのです。

例えば、代表的な仮想通貨であるビットコインやイーサリアムは世界中の法定通貨から換金されており、ICOプロジェクトに関しても、海外のプロジェクトが日本へマーケティングをかけたりと、お金がグローバルに行き交っている事がわかります。

上述したフィンテック2.0は、既存の金融を更に安全でグローバルにしていくものだと筆者は考えています。

銀行の競合はもはや銀行ではない

このように、従来銀行が手掛けていた決済や融資・投資サービスを手掛けているのは「銀行」だけではなくなった事がわかります。

つまり、銀行の競合は銀行だけではなくなっているのです。

このように、ITを駆使してプラットフォームを構築してきた企業がどんどんとビジネスを多角化し、いよいよ「金融」にも乗り出してきています。
そして、IT企業と金融機関との垣根がなくなっていき、設立間もないIT系のベンチャー企業が金融機関の既得権益を奪って行くようになるのです。

今後、金融サービスを手掛ける銀行のライバルは世界中に広がり、業種を問わず幅広い競争が繰り広げられるようになるでしょう。

ABOUT ME
Kenta Fujii
Kenta Fujii
新卒で入社した大手金融機関では、主に広告の運用やマーケティングに従事。その後は11ヶ月で退職し、金融・フィンテック分野に特化したフリーライターとして活動中。
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