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Coinhive(コインハイブ)による違法マイニングで利用者が摘発

Coinhive(コインハイブ)の利用者16人が摘発される

仮想通貨のマイニングツールCoinhive(コインハイブ)を利用して、閲覧ユーザーの同意無しにCPUを使いマイニングを行なっていたというサイト運営者計16人が今回摘発されました。
これが「不正指令電磁波的記録取得・保管罪」とされ、18歳から48歳までに及ぶ学生や会社員、自営業者などが逮捕、書類送検されたのです。

さて、この事件は一体何が問題で何が不正とされたのでしょうか?
以下より、Coinhiveについてやその具体的な事件の真相を紐解いていきます。

Coinhive(コインハイブ)とは?


引用:Coinhive

そもそもCoinhiveとは、サイト運営者が閲覧者のCPUを使って仮想通貨をマイニングし、その収益を受けるサービスです。

Coinhiveが提供しているJavaScriptコードをサイトに埋め込む事によって、サイト閲覧者に仮想通貨モネロ(XMR)のマイニングを行わせます。

このように閲覧者がマイニングしたモネロの収益の内の70%がサイト運営者へ分配され、残りの30%は開発元であるCoinhive Teamが受け取るシステムとなっています。

モネロはビットコインのような専用マシンASICを使う必要が無く、CPUでマイニングが可能な仮想通貨です。

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Coinhive(コインハイブ)は広告を排除してマネタイズが可能になる


上述したように、サイト運営者は自身のサイトにこのプログラムを実装する事で、閲覧者のCPUを利用してマイニングに貢献させられるわけですが、この方法はサイト運営者にとって広告モデル以外でのマネタイズ方法となります。

つまり、サイトに広告をペタペタと貼り付ける事なくサイトで収益を得る事が可能となるのです。

なお、開発元である「Coinhive Team」は以下のように目標を掲げています。

Our goal was to offer a viable alternative to intrusive and annoying ads that litter so many websites today.
「今日多くのウェブサイトで散らばっている迷惑な広告の代替案を提供する事が私達のゴールです」

引用:Coinhive

確かに、今日のウェブサイトには多くの広告が貼り付けられており、そのような広告が多すぎるとユーザーエクスペリエンス(UX)を損なう事にもなり兼ねません。

しかし、サイトのマネタイズ方法が広告しかない事から、それを分かっていても広告を貼り付けるしかメディアにとって収益化を測る手段がない媒体がほとんどなのです。

よって、このCoinhiveによるマイニングでの新たなマネタイズ方法は、UXを損なわず、サイト閲覧者に邪魔な広告を見せずに自分のサイトを展開できる革新的な方法だとも言えるでしょう。

ですが、今回はなぜそのCoinhiveを使ったマイニングが「不正」とみなされたのでしょうか?

Coinhive(コインハイブ)がマルウェアだとして批判される


このように、CoinhiveはWEBサイトのオルタナティブなマネタイズ方法を提供する事を掲げていますが、一方でユーザーのCPUを勝手に使用する事が原因で「Coinhiveはマルウェアだ」との批判の声もあります。

しかし、このCoinhiveは本当にマルウェア扱いされて良いのでしょうか。

警視庁にとって戴けなかったの部分として「勝手に閲覧者のCPUを利用していたこと」も確かに一理あります。
これが「不正」とされる部分の一部であり、無断でマイニングをしていた事が違法と判断されたのです。

この部分に関しては予めマイニングをする旨を記載しておけば大丈夫だったのかもしれません。

しかし、このように「CoinhiveによるCPUマイニングは違法」と警視庁によって主張されたものの、Coinhiveユーザー側は「既存の広告も閲覧者に掲載許可を得ていないのではないか」と反論しました。

確かに広告も今回のCPUマイニングと同じように、特別ユーザーから許可を得ている訳でも無く、その広告の表示によってサイトの読み込みが遅くなったりする事がゼロではありません。

さらに、動画広告も閲覧者にとって必ずしも快適なものでは無く、長い動画を見せられる事で閲覧者のCPUならぬ、閲覧者の時間を奪ってしまう事にもなるのです。

また、インターネット広告ではCookieによって同じ広告を何度も見せられたりする事があります。

これを「リターゲティング広告」と呼びますが、ユーザーにとってはそれが不快と感じても何らおかしくありません。
なので、既存の広告も「勝手に見せられている」という解釈も出来ないことはありません。

つまり、WEBサイトでは今までもユーザーの意図しない広告が埋め込まれて来ており、多くのスクリプトはユーザーの同意無しで実装されているのです。

限定してCoinhiveが違法でマルウェア扱いされるのはどうなのかと、筆者も疑問に思います。

Coinhive(コインハイブ)で家宅捜索を受けたデザイナー

引用:https://doocts.com/3403

実際にCoinhiveで家宅捜索を受けたデザイナーの「モロ」さんは、今回の摘発に対して反論を起こし、刑事裁判を行う事を表明したのです。

彼のブログでは、自身がCoinhiveを設置した後に家宅捜査を受け、上述した通り不正指令電磁波的記録取得・保管罪によって罰金10万円の略式命令を受けた旨が綴られています。

なお、彼がCoinhiveを自身の運営するサイトに設置した期間はおよそ1〜2ヶ月程度であり、実質収益も無かったとされています。

彼は警察から「事前に許可なく他人のPCを動作させたらアウト」と説明を受けたらしく、それに対して彼は「解釈がめちゃくちゃアバウトで「不正な指令」について考慮されていない」と発言しています。
そう、彼はユーザーのUXを更に高めようと思い導入したこのマイニングツールを、警視庁より「ウイルス罪」とされてしまったのです。

なお、有名仮想通貨ブロガーである「イケダハヤト」氏も、当時はこのCoinhiveを導入した経験があり、「20分程導入してすぐにコードを外した」と自身のブログで発表していました。

Coinhive(コインハイブ)の導入は今後ウイルス罪となる?

以上の警視庁の見解から、Coinhiveを導入したサイトは今後も「ウイルス罪」として摘発されてしまうでしょう。

今回Coinhiveユーザーが受けた不正指令電磁的記録に関する罪については、以下の通りです。

1.人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
2.前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

引用:Wikipedia

上記の定義を見ると、不正な理由として、「意図に反する動作をさせるべき不正な指令」と記載があります。

更に警視庁のTwitter上での発言をもう一度確認してみましょう。

「パソコンの動作が遅くなることがあります。」と書かれていますが、これに関しては上述したように動画広告なども勝手に表示され、その分PCの電力を食う事になる点では同じと言えます。

無断でマイニングをしていた事以外にも、「CPUを消費する」という事が問題であるのならば、反論があった通りマイニングと広告の閲覧者にとっての違いは何かという点に疑問を感じてしまうでしょう。

それなのに、なぜマイニングだけがウイルス罪となってしまうのでしょうか。

マイニングか広告か、どちらが閲覧者の為になる?

結局、サイトでマイニングされるか広告を表示されるか、どちらが良いのかは、閲覧者によって違うのではないでしょうか。

今回、「勝手にユーザーのCPUを利用していた」と言う点は百歩譲って問題であると言えるかもしれませんが、「ユーザーのCPUの消費が増える」事に関しては本質的ではないのではと筆者は考えています。

それはユーザーの許容範囲の違いによって変わるでしょうが、CPUの消費が気にならないユーザーもいれば気になるユーザーもいるでしょうし、「広告を見せられるくらいなら、代わりに自分のCPUでマイニングしてもらった方が良い」と考えるユーザーだっているでしょう。

今回Coinhiveにて下された「不正」について、今後「CPUパワーをサイト運営者に与える」事が合法化になる事はあるのでしょうか。

Coinhive(コインハイブ)の可能性

このようなCoinhiveを使用したメディアでは、広告に依存しないのでどれだけ広告をクリックして貰えたかなどは考慮しなくて良くなります

つまり、サイト運営者にとって必要なのは「ユーザー数」や「ユーザーの滞在時間」となり、それがインセンティブとなるのです。

筆者の私見ですが、マイニングによるマネタイズこそ、今後広告の商品をコンバージョンさせる為のメディアではなく、CPUを差し上げてでも読みたいと思われるような単純に面白いメディアを作れるのではないかと考えています。

そのような可能性を持っているにも関わらず、今回のように簡単にマイニングを犯罪だと捉えてしまわれては、まるでイノベーションが働きません。

今後の開発インセンティブが下がる事になり兼ねない

以上がCoinhiveについてでしたが、このように新しいものがどんどんと取り締まられてしまっては、日本での仮想通貨界隈での活発な動きを妨げる事になり兼ねません。

そもそもこのCoinhiveのコンセプトは、広告に頼らないWEBサイトのマネタイズ手段の提供であり、ユーザーは広告を見る代わりにユーザーの余している計算資源を提供するという事であり、ユーザーファーストの思想で考案されたものかと思います。

しかし、このようにまだ未開拓の新しいサービスを展開すると逮捕される可能性があるのであれば、日本で技術を開発していくインセンティブは間違いなく落ちてしまうでしょう。

今後も警視庁等の動向や方針に注目しておきたい所です。

 

ABOUT ME
Kenta Fujii
Kenta Fujii
新卒で入社した大手金融機関では、主に広告の運用やマーケティングに従事。その後は11ヶ月で退職し、金融・フィンテック分野に特化したフリーライターとして活動中。
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