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仮想通貨規制を改正資金決済法から金商法へと移行検討。そのメリットとは。

金融庁は利用者保護の為「金商法」への移行を検討

金融庁は、仮想通貨交換業者の規制に関する法律を「改正資金決済法」から「金融商品取引法(以下金商法)」へ移行する事を検討している事が7月3日、産経新聞より報道されました。
現在日本では、仮想通貨は「改正資金決済法」によって円やドルなどのフィアットマネー(法定通貨)に準ずる支払い手段として認められています。
そして、その仮想通貨を取り扱いする取引所は、「仮想通貨交換業者」への登録が必須であり、金融庁から登録を受けていなければその運営は出来ません。

しかし今回議題に上がったのはそれとは異なった既存の銀行や証券会社などに適用される金商法であり、その移行がもし実現すれば、仮想通貨業界におけるルールがまた変わるかもしれません。

仮想通貨の規制に金融商品取引法が適用されるとどうなる?

今回金融庁は改正資金決済法から金商法への移行を検討していますが、もしそれが適用される事になれば、仮想通貨も既存の有価証券と同じ法の枠組みが活用され、「金融商品」として扱われる事となります。

金商法は国民経済の健全な発展と投資家の保護を目的とした法律であり、顧客資金の分別管理の徹底や有価証券のインサイダー取引の禁止など、厳しい規制の枠組みが整備されているのです。

産経新聞によると、金融庁が金商法への移行を検討するきっかけとなったのは、2018年1月にコインチェックからおよそ580億円のNEMが流出し、そこで顧客資産保護のあり方が問題視されたからだとされています。

もしこれが適用されると、既存の仮想通貨交換業者は「金融商品取引業者」としての資格が必要となるでしょう。
今後益々、仮想通貨取引所の運営ハードルは上がっていく事が予想されます。

仮想通貨への金商法の適用は投資家にとって有利となるか

今まで自由奔放で野放しにされてきた仮想通貨市場ですが、ここで金商法が適用されるとすれば、それは投資家にとっては有利となるのでしょうか。

金商法が適用されれば分離課税となることも考えられる

まず、金商法の適用によって考えられるのが、「税制の見直し」でしょう。
現在仮想通貨の取引で得た売買損益は「雑所得」に分類され、利益が20万円を超える場合には確定申告をする必要があります。

そして、雑所得は総合課税の対象となるので、給与所得などを合わせた総収入に応じて税率が決まります。

なので、最高税率は45%までに昇り、億単位で利益を得た場合でもその約半分を税金として納める必要があったのです。

億り人が苦しむ税金。仮想通貨で大金を手にした先に待つ光と影仮想通貨の不安定さが億り人を続々と生み出した 仮想通貨は1日で20%もの価格変動を起こすことも珍しくなくとても不安定な状況です。 ...

しかし、今回検討されている金商法への移行が適用されれば「譲渡所得」として総合課税ではなく分離課税となる可能性が大いにあるでしょう。

既存の株式で利益を出した場合、譲渡所得として一律およそ20%が分離課税の対象となり、前年に出した損失をその年に繰り越して損益通算する事も可能です。
仮想通貨に金商法が適用されれば、申告分離課税となって税率が一律化される期待も持てるでしょう。

ETFの上場、そして大口投資家の参入にも期待

また、仮想通貨が金商法の対象となる事で、金融機関や証券会社などで幅広く販売されたり、デリィバティブ商品やETF(上場投資信託)の取り扱いも可能となるでしょう。

これらが実現すれば、既存の証券取引所から仮想通貨が買われたり、健全な市場が整う事で大口投資家も参入しやすくなったりする事も十分予想出来ます。

なお、ETFに関しては、米国では仮想通貨長者として著名な「ウィンクルボス兄弟」が仮想通貨ETFを申請するも、米証券取引委員会(SEC)からは未だに承認されておらず、慎重な姿勢を示しています。

ですが、日本が米国に先立ってETFなどの金融商品を上場すれば、沈みかけている現在の仮想通貨市場もまた上向きになる事も予想出来るでしょう。

一方で仮想通貨やトークンの自由度は落ちるかもしれない

一方で、仮想通貨が金商法によって金融商品となれば、今日市場に細かく放たれているICOトークンなどは全て日本で取り扱いが禁止になる可能性も出てきます。

そうなると、マイナーなアルトコインの大半が日本人は売買出来なくなってしまいます。

また、これによって新たなDapps(分散型アプリケーション)の開発もそこで生まれるトークンが金商法に値する可能性となる事から、デベロッパーの開発インセンティブを下げる事にもなってしまうでしょう。

このように、安全性と自由度はトレードオフのようにも見えますが、今後は主要通貨だけが残り、他のトークンの生き残りは益々厳しくなってくるのではないかと筆者は予想します。

規制によって主要通貨への期待は膨らむ

以上、金商法の適用によって当局からの監視が強まり、トークンに関する懸念は残りますが、それでも市場全体にとっては将来的にはポジティブに動くでしょう。

仮想通貨が金融商品として確立する事で「仮想通貨はリスクが高い」と思っていた層への投資を換気する事ができ、あらゆる金融機関の販売窓口でそれを売り出す事が可能となります。
仮想通貨の投資は比較的20〜30代の年齢層が多いですが、それによってもっと上の年齢層へのアプローチもしやすくなります。

一方で既存の仮想通貨交換業者には厳しい規制となるでしょうが、もし適用されれば仮想通貨の世界を広げる為の大きな試練となるでしょう。

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Kenta@フリーライター
Kenta@フリーライター
新卒で入社した大手金融機関を11ヶ月で退職し、仮想通貨・ブロックチェーンに特化したフリーライターとして活動中。現在は場所を選ばず住所不定の”Decentralized”な生活を満喫している。