大手SNS、Facebookに注目が集まるわけとは
Facebook(以下、FB)は、今年の1月には、仮想通貨関連広告掲載を禁止する一方で、6月には、承認を得た広告のみ掲載するニュースで仮想通貨業界に大きな衝撃を与えました。
その一方で、独自仮想通貨発行の可能性や、ブロックチェーン技術研究など、仮想通貨関連プロジェクトを立ち上げるなど、FBの動向が注目されており、大手SNSが今後どのような展開を見せていくのか、仮想通貨業界をはじめとする各業界からの注目が集まっています。
Facebookが独自仮想通貨発行を検討中か
引用:https://www.recode.net/
すでに知られているように、FBは社内にブロックチェーンの調査グループを立ち上げており、長年「Messenger」のチーフだったDavid Marcuc氏を、ブロックチェーンリサーチグループトップに据えました。
Marcuc氏は、FB社に4年にわたり、メッセージの他に無料通話やスタンプ・画像の送信、アニメーションなどの共有をする、Facebookのメッセージ機能「Messenger」事業を統括してきました。
FB以外にも、米国仮想通貨取引所大手のコインベースの取締役も、務めており、元PaypalのCEOとしての「決済とモバイル領域の知識」がCoinbase(コインベース)社にとって指針となるようです。
Marcuc氏は5年前から仮想通貨に魅了されており以下のように語っています。
「革新的かつ、インパクトのあるサービスを市場に放つ俯瞰的な立場と経験が、コインベースの成長には欠かせないものになります。」
5月初旬には、「プラットフォームのブロックチェーンテクノロジー」と潜在的なユーザー目線システムの完成形をイメージする「ユースケース」を数十人未満のチームで調査しており、上級管理職まで含まれる大型プロジェクトになっています。
また、FBの技術部長であり、スケーラビリティーに精通しているEvan Cheng氏が、ブロックチェーン担当技術部長に据えたことは、いかにブロックチェーンプロジェクトが重要か示唆しています。
これらを通じてFBは、単なるブロックチェーンを研究プロジェクトにしていないことが明らかとなり、ブロッックチェーン技術とその応用の適用可能性に懸命に取り組んでいることが分かります。
もしかすると、ブロックチェーン関連の研究はFBが独自仮想通貨、Facebook Coin(FBC)の作成検討に関与している可能性もあります。
米国ニュースメディア「チェダー」によると、FBがユーザーが決済に使う仮想通貨計画について非常に真剣に検討しており、その関係で、Marcuc氏がブロックチェーンリサーチグループ責任者に就任したのではないでしょうか。
月間アクティブユーザーが20億人以上いるFBにとっては、さらなるサービス展開とプラットフォームに着手することができ、一つの経済圏が生まれることになります。
Marcus氏の決済サービスとコミュニケーション分野での横断的な業界経験と、仮想通貨取引所における影響力から独自通貨のプロジェクトに期待ができそうです。
Facebookが目指すプラットフォームとは
FBのCEO、Mark Zuckerberg氏は、今年の1月に投稿した新年の豊富として、各個人が改革、発展に必要な力であるエンパワーの可能性を広げるために、デジタル通貨を検討していくと述べました。
つまり仮想通貨のような分散型システムは、中央集権型システムに依存せずに個人の手に取り戻すことを助けることを目的としてます。
テクノロジーメディアであるRecodeによると、これからのFBは、
- 「アプリ・ファミリー」
- 「中央プロダクト・サービス」
- 「ニュープラットフォーム&インフラ」
3つのグループの部門下で事業を行うことになります。
しかし仮想通貨技術に関心を示す一方で、今年の1月にはFB及び同社が運営する広告ネットワーク、Instagram(インスタグラム)において、仮想通貨やICO(イニシャル・コイン・オファリング)関連の広告掲載を禁止することを発表しました。
「誤解を招く、または人を欺く行為と頻繁に連想づけられるバイナリーオプション・ICO・仮想通貨などの金融商品やサービスを宣伝してはいけません。」
発表してからわずか半年後の6月26日には、FBは広告掲載の方針を変え、ICO広告を禁止する一方で、仮想通貨広告の出稿を条件付きで許可することを発表しています。
「FBは、安全だと確認され仮想通貨関連の広告掲載を許可するべく、過去数ヶ月間最善の方法を模索してきました。」
改定された「禁止されている製品と、サービスポリシー」では、6月26日より事前承認された広告主から仮想通貨や、関連コンテンツに関する広告を許可します。
そのためには、FBが適性評価できるように、出稿者に申請書を提出することを義務付けており、出稿希望者はビジネス上に関する公的なバックグラウンドなどの情報を提供する必要があります。
引用:https://www.facebook.com/help/contact/532535307141067
ただし、これだけでは誰もが広告を掲載できるわけではないため、フィードバックを元に、時間をかけてポリシーを改訂するとして、仮想通貨の基盤となるブロックチェーンも引き続き研究するとしています。
実質ユーザー数が低迷が深刻化するFBにとって、仮想通貨広告関連の収入も無視できない額であるけれども、フェイクニュースや、ユーザーの保護を問題視する社会にとってFBは苦渋の選択をせざる得なかったのかもしれません。
各SNSメディアの新規ユーザー数を見れば、どこも頭打ちになっており、新規事業をはじめとする収入源の確保が必要に迫られています。
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引用:https://gaiax-socialmedialab.jp/
各企業が、ブロックチェーン技術開発・研究に精を出す理由とは何でしょうか。
FBをはじめとする企業は、いつまでも安泰な環境は保証されているわけでなく、企業の存続危機に直面に瀕する可能性や、数十年先の存続をかけたデッドヒートが強いられています。
いまだに彼らが、プラットフォーム上におけるブロックチェーン技術を使ったプランは公表していません。
ただ、テクノロジーの可能性を追求していることは確かであり、セキュリティー面でブロックチェーン技術を活用させるのか、または独自仮想通貨発行のような、新たなサービス展開をしていくのか注目が集まるでしょう。